2016 Fiscal Year Research-status Report
金コア-硫化物シェルハーフカット形プラズモニック光触媒によるソーラー物質変換
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15K05654
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
多田 弘明 近畿大学, 理工学部, 教授 (60298990)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
Auコアー金属硫化物(MS)シェル(Au@MS)-HCNEプラズモニック光触媒の水分解に対する活性向上を目的として研究を実施した結果、次の成果が得られた。1.Au/ZnOのAu上への選択的CdS光析出反応において、溶液を50℃に加熱することによりCdSシェル層の結晶性が向上することを見出した(ホット光析出法の確立)。2.ホット光析出法により合成したAu@CdS-HCNE粒子のAu/CdS界面において、ヘテロエピタキシャル接合が形成されていることを高分解能TEMを用いて確認した。3.各種方法でAu-CdS複合ナノ粒子を合成し、可視光照射下における水分解に対する活性を調べてところ、ホット光析出法で合成したAu@CdS-HCNE粒子が他のサンプルに比較して著しく高い活性を示すことを実証した。4.昨年度、Auナノ粒子とCdSとの間にZnS絶縁層膜を挟むことにより、可視光活性が劇的に増大することを見出したが、今年度は、光電気化学的手法を用いてその原因を明らかにし、その成果を学術雑誌に公表した(J. Phys. Chem. Lett. DOI:10.1021/acs.jpclett.6b0264)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Auとカルコゲナイド半導体との界面にヘテロエピタキシャル接合を形成するためには、通常、200℃以上の温度が必要とされている。今年度、当初の予定にはなかった、”ホット光析出法”を開発し、50℃という低温でヘテロエピタキシャル接合を有するAu@CdS-HCNE粒子を合成することに成功した。さらに、原子レベルで整合した界面接合の形成が、ヘテロナノ構造型光触媒の活性を向上させるための要因であることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本研究の最終年度にあたることから、今年度開発したホット光析出法を発展させるとともに、これまでの研究成果をまとめる。1.各種Au@MS-HCNE粒子を合成する、2.高分解能TEMを用いて界面に重点をおいたキャラクタリゼーションを行う、3.可視光照射下における水分解に対する活性評価を行う、4.界面接合と光触媒活性の相関を明らかにする、5.これまでの研究成果を論文にまとめて公表する。
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Causes of Carryover |
光触媒反応実験では光強度を測定することが必要不可欠である。現在使用している光量計が故障したため、来年度予算で新品(約50万円)を購入したい。そのため、今年度予算を多めに残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
光量計の購入および材料費に有効に使用する予定である。
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