2015 Fiscal Year Research-status Report
金属イオンドープ高分子フィルム上での多孔性有機金属錯体形成プロセスの開発
Project/Area Number |
15K05655
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
鶴岡 孝章 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 講師 (20550239)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 金属有機構造体 / 界面反応 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、金属イオンドープ高分子基板上にて選択的にMOFを形成させる手法の開発を目的としている。 平成27年度はその第一歩として、AlをベースとしたMOFを対象にMOF形成条件の検討を行った。具体的には、高分子内への金属イオンドープ量、反応有機リガンド濃度、反応温度など種々の条件を変化させ、その際のMOF形成状態、経時変化などを観察した。その結果、金属イオンドープ量、有機リガンド濃度が、高分子フィルム内からの金属イオン溶出速度に影響を与えており、それらを調整することにより、高分子基板上にて選択的にMOFを形成することに成功した。さらに検討を行うことにより、その金属イオン溶出が本アプローチによるMOF形成の律速段階であることを明らかにしたCryst. Growth Des. 2016, DOI: 10.1021/acs.cgd.6b00007)。 さらに研究実施二年目(平成28年度)に予定していた本手法の他のMOFへの適用についても検討を行ったところ、有機リガンドとしてカルボン酸を用いるMOFにおいて選択的MOF形成に成功した。またカルボン酸に加えてアミン分子もリガンドとして用いる複雑な系においても本手法の適用が可能であり、そのリガンド濃度を調整することにより得られるMOF結晶の形態を制御できることを明らかにした。 また、高分子基板上にレジストパターンを作製し、MOF形成反応を行ったところ位置選択的にMOFが形成し、MOFパターンの作製に成功した。この知見は他の複雑構造体、例えばフォトニック結晶などとの複合化を目指すにおいて非常に重要であり、最終年度に向けて非常に重要な成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は3つの課題に分類されており、課題(1)基板上での選択的MOF成長制御、課題(2)MOF薄膜形成手法の汎用化、課題(3)センサーの構築を指向したフォトニック結晶・MOF複合薄膜の作製のパートがある。昨年度の研究遂行により、課題(1)については成功しており、論文採択が決定している状況にある(Cryst. Growth Des. 2016, DOI: 10.1021/acs.cgd.6b00007)。また課題(2)についても複数種のMOFにおいて基板上での選択的作製に成功しており、現在のところ当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、課題(2)を中心に研究を遂行している状況にあるが、MOFの種類によって基板上での選択的成長過程に違いがあることを確認している。その違いがどのようなファクターに起因しているのかを明らかにし、手法の汎用化を目指す。また、従来MOF成長過程は熱力学的支配であるが、基板内にドープした金属イオンの反応溶液への溶出を速度論的に制御できることが本アプローチの特徴で有り、溶出速度を制御することにより基板上ので分子自己組織化過程の解明へと発展させていく予定である。 また、課題(3)においては、基板上にレジストを形成すると部位選択的なMOF析出を実現できることを既に確認している。この課題(3)においては基板上でのフォトニック結晶作製が大きな鍵を握っていると考えられる。しかしながら基板の親水性がフォトニック結晶作製には不十分であるため、親水化処理を施し、基板上でのフォトニック結晶作製条件について検討を進める。
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Causes of Carryover |
平成27年度の研究遂行において、さまざまなMOFに対応する試薬を購入するため初年度に消耗品に必要な額を多く申請していたが、ファーストトライにて提案していた手法戦略通りの結果が得られたため、予定より消耗品の購入が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の研究遂行が計画以上に進行したため、本年度より提案手法の汎用化を中心に研究を遂行する予定である。そのため非常に多くの消耗品を購入する必要があり、本年度の従来予定使用額に助成金を加えて、さらに研究を遂行する予定にしている。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Interfacial Synthetic Approach for Constructing Metal-Organic Framework Crystals Using Metal Ion-Doped Polymer Substrate2016
Author(s)
Takaaki Tsuruoka, Misato Kumano, Koji Mantani, Tetsuhiro Matsuyama, Ayumi Miyanaga, Takashi Ohhashi, Yohei Takashima, Hideto Minami, Toyoko Suzuki, Kaori Imagawa, Kensuke Akamatsu
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Journal Title
Crystal Growth & Design
Volume: 16
Pages: 未定
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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