2016 Fiscal Year Research-status Report
TMAインデンテーション試験に基づく粒子分散強化高分子材料の材料設計最適化
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15K05689
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
辻 裕一 東京電機大学, 工学部, 教授 (10163841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 隆志 沼津工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (10161994)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インデンテーション試験 / クリープコンプライアンス / 粒子分散強化 / 時間-温度換算則 / 粘弾性 / シール材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
試験材料としてPTFEにアルミナ粒子を配合した粒子分散強化材料を用意した。アルミナ粒子の配合率が長期・高温クリープ特性に及ぼす影響を検討することが目的である。クリープコンプライアンスの評価には、昨年度の成果である熱機械分析装置TMAを改造して三角錐圧子を装着した試験装置を用い、高温試験から評価に着手している。押込み荷重と押込み変位の関係についての再現性には改善の余地があるが、比較的短時間の高温粘弾性特性のデータを、試験温度を変えながら取得した。一方、粒子分散強化材料の常温と高温における弾性係数について、引張試験と圧縮試験を実施して取得した。 次に、長時間領域までの粘弾性特性を表すマスターカーブを作成するために、各試験温度の粘弾性特性に時間-温度換算則を適用した。高分子材料に関して一般的に行われている手順によって、特定の温度のクリープコンプライアンスを表すマスターカーブを作成することができた。このとき用いるシフトファクターとして、W.L.F.式によるもの、及び各温度のコンプライアンス曲線の時間軸に関する移動量を最小自乗法に基づき求めたものの両者を比較検討している。 並行して、粒子分散強化PTFEの高温におけるシール製品としての微小リーク特性に及ぼす粒子配合率の影響を高温ガスケット密封性能試験により評価している。配合率を高くすると、シール製品としてのクリープ変形は減少するが、常温における密封性能がやや低下すること、高温にするとシール性能が向上することを明らかにした。また、シール製品と座面との接面の観察として、表面粗さ測定器による評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画の2年目の実施計画では、(1)シール製品の高温・極低温インデンテーション試験の実施,及び粒子分散密度の影響の評価、(2)シール製品と座面の接面の観察の2つの課題を掲げた。それぞれの研究課題に関して、(2)については測定手法を当初計画から変更したが、(1)、(2)とも研究目標に対応する実験データは順調に収集が進んでおり、成果としてまとめる作業に入っている。また,次年度の研究の基礎データも取得できた。 以上より、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が計画の最終年度であり、下記の2項目の研究を実施するとともに、研究全体のまとめを行う。 (1)粒子分散強化をPTFE系シール製品に適用する場合に、インデンテーション試験とマスターカーブ構築法を組み合わせた粘弾性特性評価に基づき、高温において長期にわたりシール性能を発揮するための最適材料設計方法を提案する。 (2)配合率を変えた粒子分散強化PTFE材料について高温ガスケット密封性能試験によりシール製品としての密封特性評価を系統的に実施する。 以上より、PTFE系シール材料に対する粒子分散強化による材料設計の最適化手法を提案し、また、シール製品の粘弾性挙動と密封性能の関連について定量的に解明する計画である。
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