2016 Fiscal Year Research-status Report
溶接困難材料に対する高効率・高信頼精密微細レーザ溶接法の開発
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15K05725
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡本 康寛 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (40304331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 晃 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (60263612)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 銅 / レーザ溶接 / パルスレーザ / グリーン / 微細溶接 / 溶け込み深さ / 532nm / 1064nm |
Outline of Annual Research Achievements |
波長1064nmでピーク出力3kWのパルスNd:YAGレーザ発振器を用い,非線形光学結晶の1種であるLBOを共振器内に設置し,光軸の調整を試みた.一般的なナノ秒以下の時間幅のパルスレーザと比較して瞬間的な出力が低く,パルス幅が長いことから非線形結晶へのダメージが生じやすい.そのため,大きな波長変換効率を得ることは難しいが,任意の波長を抽出可能なダイクロイックミラーを用いて2波長が混在する状態から波長532nmのみを取り出し,ミリ秒オーダーのパルスレーザにおいても波長532nmのレーザ光が得られた.このレーザ光をコア直径0.1mmの光ファイバで伝送し,光ファイバ出射端においてピーク出力1kW以上のミリ秒パルスグリーンレーザによるプロセスを実施できる環境を整えることができた. 波長532nmのミリ秒パルスグリーンレーザによる基礎特性を検討するため,矩形パルスを用いて厚さ1mmの無酸素銅に対して窒素シールドガス雰囲気においてレーザ光照射実験を行ったところ,スポット直径0.25mm以下よりキーホールが形成され,溶け込み深さはスポット直径の減少にしたがって線形的に増加した.また,パルス幅が大きくなるほど,溶け込み深さも大きくなり,そのばらつきも減少した.一方,波長532nmと1064nmのレーザ光による結果を比較したところ,一般的に熱伝導型とキーホール型溶接の境界とされる,パワー密度が10^5W/cm^2において,波長1064nmでは試料表面がほとんど溶融しなかったが,波長532nmでは大きな溶融痕が得られ,吸収率の大きなレーザ光による効率的なプロセスが期待できることが明かとなった.しかし,矩形パルスでは急激にキーホールが閉じることにともなって溶接欠陥であるポロシティの発生が確認されたことから,パルス波形制御等を検討して改善を図っていきたいと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究実施計画であげていた「ミリ秒パルスグリーンレーザの開発」,および「ミリ秒パルスグリーンレーザによる基礎特性の検討」を実施した.その結果,目標としていたミリ秒パルスグリーンレーザで照射実験を進められる環境を整えることができた.そして,矩形パルス波形であるが,銅に対する基礎的なレーザ溶接特性を検討し,議論することができたなど,おおむね順調に進展したと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては,おおむね順調に研究計画を遂行できたことから,平成29年度は当初の計画通り,銅の高効率,高信頼微細パルスレーザ溶接法に関して,「吸収光エネルギー量の明確化」と「パルス波形制御による高機能化」を実施遂行する.
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