2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K05730
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
雨宮 隆 日本工業大学, 工学部, 教授 (60711520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安原 鋭幸 日本工業大学, 工学部, 准教授 (70282829)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノカーボン合成 / グラフェン / カーボン複合樹脂材料 / 高伝熱性樹脂材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.本研究の目的と平成27年度の研究実施計画 本研究では、貝殻の積層構造に類似するナノサイズのグラフェン積層構造を有し、高靭性・高熱伝導性を特徴とする高機能複合材料を開発することを目的としている。この目的を達成するために、平成27年度の研究実施計画では、(a)エタノールガス等の炭化水素ガス原料から、CVD法によるグラフェン塊を製造する条件の確立、(b) グラフェンの樹脂への分散.混練方法及び延伸薄膜化プロセスの検討を挙げた。 2.平成27年度の研究実績 (1)実施計画項目(a)に関しては、気密型の縦型電気炉を用いたベンチスケールのナノカーボン合成実験装置を構築し、エタノール及びメタノール等のアルコール原料からCVD法により連続的にグラフェン塊とみられるナノサイズのカーボンを合成することに成功した。600℃から750℃の温度条件をパラメータとして合成実験をおこなった結果、無水エタノール原料で、750℃条件下にて最も高い合成効率(原料カーボン量に対する合成されたナノカーボン量の比)が得られた。またCVD反応を効率的に推進させる触媒としては鉄系金属触媒を選定した。 (2)実施計画項目(b)に関しては、上記で合成したナノサイズカーボンをポリカーボネート樹脂に分散混錬することにより複合樹脂材料のサンプルを試作した。カーボンは超音波解砕法による解砕・分散を行い、ポリカーボネート樹脂との溶融混練を行った。カーボンを5%混合させて製作した複合樹脂材料の熱伝達特性は、基材のポリカーボネート単体に比べて2~3倍の向上が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度に計画していた、固形有機材料からのナノカーボン素材の合成が進んでいない。原因は実験装置の構築と運用に予想以上の時間がかかったため。本件は28年度にて実施できる予定。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)固形有機化合物の分解ガスを用いたグラフェン塊の生成実験 平成27年度の研究において、アルコール原料からのグラフェン塊の生成には成功したが、実施計画で予定していた木質あるいはプラスチックなどの固形有機化合物を原料とするナノ財図カーボンの生成は実施できなかった。平成28年度は、ベンチスケールのナノカーボン合成実験装置の投入配管部に高温管状炉を付設し、固形有機化合物の分解ガスを1000℃程度の高温下で改質して得られる炭化水素ガスを原料として、CVD法によるグラフェン塊の生成を試みる。 (2)カーボン複合樹脂の薄膜積層化および性能の検証 当初の平成28年度研究計画で予定しているグラフェン混練樹脂の薄膜積層化によるサンプル試作を実施し、複合材料についての機械的、熱的特性の測定を行い評価する。必要に応じて、パラメータを変えながらグラフェン合成から樹脂複合材料製作までの試作を繰り返して行い、機械的、熱的特性を向上させるための条件を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究を進めていくうえで、必要に応じて研究費を執行した結果、高温ガス加熱器の購入時期を遅らせた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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