2016 Fiscal Year Research-status Report
非可視光線を用いた画像処理によるダイヤモンド砥石の砥粒分散の解析に関する研究
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15K05744
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| Research Institution | Sasebo National College of Technology |
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Principal Investigator |
川下 智幸 佐世保工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (00270380)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 2波長域画像 / 可視光域画像 / 紫外線画像 / ダイヤモンド抽出 / 画像処理 / 研削砥石 / 砥粒分散 / ダイヤモンド砥粒 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
砥石作業面の砥粒切れ刃の形状や分布は，加工仕上げ面の良否を左右する大きな要因であることから，可視光線域で得られた画像を用いて，画像処理により砥粒切れ刃の抽出を行い，その分散状態等の解析を実施してきた．しかし，砥石作業面においては，ダイヤモンド砥粒と他の領域との間に，色相・彩度・明度の差がない場合，砥粒のみを正確に抽出することが困難である．したがって，従来のような，可視光線域で得られた画像のみを用いる手法では，計測できる砥石は極めて限定的であった．本研究では，ダイヤモンド砥粒の光学的な特性に注目し，2波長域の画像（可視光線域と紫外線域）を用いて画像処理・解析を試みたところ，以下の点が明らかにできた．（１）砥石構成材料（ダイヤモンド砥粒，結合剤，フェラー）の分光特性を解析したところ，可視光線域（525nm）および紫外線域（365nm）で，反射率で約13％違いがあることがわかった．（２）予備的実験として，メタルボンド板材上およびレジンボンド板材上に，ダイヤモンド砥粒を散布して，2波長域（可視光線域（525nm）紫外線域（365nm））の画像を用いて，画像処理を行ったところ，正確にダイヤモンド砥粒の抽出が実現できた．（３）(2)の解析に用いた画像処理解析プログラムを独自に開発した．（４）従来は計測できなかった研削砥石を対象として，2波長域（可視光線域（525nm）紫外線域（365nm））の画像を用いて，ダイヤモンド砥粒の抽出実験を行ったところ，高い抽出率で実現できることがわかった．なお，平成28年度は，研究成果を以下のように発表している．【学術講演会】2件（砥粒加工学会学術講演会1件，精密工学会学術講演会１件），【特許】1件出願（特願2017-43281：平成29年2月16日）発明の名称「ダイヤモンド微細砥粒画像の抽出装置」
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究成果として以下の項目が明らかになった．可視光線域画像を用いて画像処理を行ってもダイヤモンド砥粒の抽出が困難であった研削砥石を測定対象として，砥石を構成する素材（ダイヤモンド砥粒，結合剤，カ－ボン）の分光解析によりダイヤモンド砥粒の可視光線域（525nm）と紫外線域（365nm）における反射率の差に着目し，2波長域の画像を用いてダイヤモンド砥粒の抽出解析を試みた結果，以下を得られた．（１）可視光線域（525nm）と紫外線域（365nm）で得られた画像を用いて画像処理を行うことで，可視光線域のみを用いた画像処理では，抽出が困難であったダイヤモンド砥粒の抽出が可能になった．（２） 目直し後などの砥石作業面にある砥粒の抽出（砥粒抽出）を対象とする場合は，ド－ム型の構造を有する照明により，多方面から均一に照射して得られる画像を用いて処理することで，再現率85.8%，適合率98.9%を得ることができた．（３） 研削に関与する砥粒の抽出（砥粒切れ刃抽出）を対象とする場合は，砥石作業面上部方向に配置した照明から垂直落射光を照射することで得られる画像を用い処理することで，再現率58.3%，適合率90.4%を得ることができた．しかし，可視光線域画像においては，垂直落射光は，ダイヤモンド砥粒を透過し，砥粒底部面と接する結合剤の反射率の影響がみられ, 可視光線域と紫外線域の差分画像において輝度比差が少なく，再現率58.3%に留まっていることがわかった．そのため，光の照射方法等を変更するなどして，さらに改善する必要がある．
以上のような研究成果を得ていることから，現在までの進捗状況としては“（２）おおむね順調に進展している．”と判断した．
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は，以下の項目について取り組んで行く．（１）研削に関与するダイヤモンド砥粒切れ刃の抽出率は，約60%と高くない．その理由として，可視光線域画像において，垂直落射光は，ダイヤモンド砥粒を透過し，砥粒底部面と接する結合剤の反射率の影響から, 可視光線域と紫外線域の差分画像において輝度比差が少なくなることに原因があることがわかっている．その対応として，ダイヤモンド砥粒は，高い屈折率を示すことから，垂直落射光に変え，砥粒切れ刃平行面に対して任意の一定角度から平行光を照射し，画像取得用カメラを，その反射角度に設置し画像を取得するなどにより改善を行う．（２）画像処理プログラムにおけるアルゴリズムの改善を図り，抽出率のさらなる向上を目指す．（３）これまでに計測できなかった普及型砥石において，本計測法を用いダイヤモンド砥粒の正確な抽出を実現させ，砥粒分散の状態を定量的に明らかにする．（４）砥石の用途によってダイヤモンド砥粒は，様々なグレ－ドが用いられることから，本計測法が，幅広いグレ－ドのダイヤモンド砥粒に対しても有用性があるかを検討する．（５）ＣＢＮ砥粒や他の結合剤，各種フィラーで構成されている砥石においても，構成素材の分光特性を把握することにより，本計測法による解析の有効性を検討していく．（６）これまでの研究成果について論文投稿および研究発表などを継続的に取り組む．（７）提案している新しい計測法は，非常に有効な計測法であることから，研究成果を産学官連携活動において積極的に公開して行くことで，普及を図る．
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| Causes of Carryover |
学術講演会等の参加費（旅費等）が予定より少なかった．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の研究成果を積極的に公開していく費用に充てる．
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Research Products
(3 results)
