2015 Fiscal Year Research-status Report
レーザー照射による使用済みガラス用研磨材からの酸化セリウムの回収
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15K05746
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 照子 国立研究開発法人理化学研究所, EUSOチーム, 研究員 (50312260)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 使用済み研磨剤 / レーザー照射 / 酸化セリウム / 大気中 |
Outline of Annual Research Achievements |
プレレーザー照射試験では、波長808nm、出力20Wの半導体レーザーを使用し、大気中において使用済み研磨剤へのレーザー照射を行った。また、照射前後の使用済み研磨剤の成分分析(EPMA)を行った結果、レーザー照射後はレーザー強度の高い照射中心程に近づく程、Ce の質量濃度が低いことがわかった。そこでレーザー照射中に終始、研磨剤サンプルから蒸気が発生していたことから、その蒸気をカバーガラスに捕捉した。カバーガラスの蒸着物は照射中心になるほど白色が濃いことからレーザーの照射中心で多くの蒸気が補足できた。その蒸着物のEPMA 分析結果よりCe が検出できた。 照射時間とワーキングディスタンズの最適化及び蒸着物の膜厚測定を行った。なお、レーザー照射により、酸化セリウム研磨材に比較的多く含まれるLa も検出された。 次に分光試験を行い高純度の酸化セリウム研磨剤の光吸収特性を調査した。その結果、400nm前後に吸収波長が存在することを明らかにした。 メインレーザー照射システムの試作とレーザー照射試験では酸化セリウム回収用半導体レーザー(808nm、405nm)、光ファイバ、コントローラー、水冷システム及び集光レンズの光学系からなる照射システムを構築した。上記システムを使用し、808nmレーザー照射試験では、レーザー照射により発生する蒸気を補足することで、酸化セリウムの回収が可能であった。光学系の最適化により、最も蒸着物が回収できる照射時間を明らかにした。また、微粒子化した蒸着物の厚膜化についても検討した。酸化セリウムの回収は、プレレーザー試験と同様にカバーガラスに蒸着させた。405nmレーザー照射試験については、次年度にさらにシステムの改良・最適化により照射時間、照射出力等を検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下記の研究計画に則り、実験及びメインレーザー照射システムの試作を行い、酸化セリウム成分を回収するためのシステム、照射条件を得ることができたため。 1)大気中における使用済み乾燥研磨材への連続波半導体レーザー照射によるレアアース成分の回収(プレレーザー照射試験) 2)分光試験 3)メインレーザー照射システムの試作とレーザー照射試験による酸化セリウムの分離・回収
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針は下記となる。 ・レーザー照射システム及び回収システムの改良・最適化 405nmのレーザー照射試験について酸化セリウムの収率を上げるために分離・回収システムの最適化を図る。レーザー強度と照射時間の適正化。照射時温度についても調査する。プレレーザー照射により得られた、蒸着物へのレーザー照射による物質移動・蒸発のメカニズムを明らかにする。 ・回収された酸化セリウムによる研磨試験 回収した酸化セリウムに対し、研磨能力の再生を確認するために、ラッピングマシーンを使用したガラスの研磨試験を行う。未使用酸化セリウム研磨材、使用済み研磨材と比較する。回収された酸化セリウムがレーザー照射プロセスにより活性化されていれば、ガラスとの化学反応が促進され、高い研磨能率が得られると考えられる。回収できた酸化セリウムが少量の場合は、少量の研磨液でも研磨が可能なトルク式トライボメータを使用する。成果の公表についても順次行う。
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