2016 Fiscal Year Research-status Report
レーザー照射による使用済みガラス用研磨材からの酸化セリウムの回収
Project/Area Number |
15K05746
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 照子 国立研究開発法人理化学研究所, EUSOチーム, 研究員 (50312260)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 使用済み研磨剤 / レーザー照射 / 酸化セリウム / 大気中 |
Outline of Annual Research Achievements |
808nmレーザー照射システムにおいて、レーザー出力を25Aから35Aまで変化させることで、Ceの原子比率を、平均74.2%から88.0%に増加した。Laについては、平均25.2%から12.0%に原子比率の大幅な減少(52%減少)が可能となった。 また、808nmレーザーの照射時間と使用済み研磨剤の照射スポットを変化させることで、今年度はさらに最大185μmまでCe成分が含まれる白色蒸着物の厚膜化が可能であった。厚膜化した白色蒸着物を収集し研磨試験を行うための、模擬研磨試験条件の最適化を行った。模擬的研磨試験方法については、トルク式研磨試験、往復摺動方式研磨試験の両方について検討した。そして少量でも可能な模擬的研磨試験方法を確立した。 収集した白色蒸着物について、Ceの吸収波長に近い405nmの波長の半導体レーザーを大気中において照射し成分分析を行ったが、照射試験条件内でCe,La成分について照射前後の質量濃度の差は得られなかったため、照射方式の再検討を行った。そこで、使用済み研磨剤へ直接405nm半導体レーザー照射することとし、照射面の成分分析を行った。使用済み研磨剤への直接照射においては、照射システムにおいてビーム整形を行いシート光とした。また、試料台については1軸を自動走行とするシステムに改良を行った。上記システムにおいて、405nmのレーザーを使用済み研磨剤へ直接照射した結果、SiとLaについて照射前後で質量濃度が変化することが明らかとなった。 使用済み研磨剤に付着しているガラス成分であるSiについて、大気中において405nmの波長の半導体レーザーに対し反応性があることが示唆された。また、808nm及び405nmレーザーについて強度分布の確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
808nmレーザー照射システムにおいては、出力を35Aにすることで捕捉した白色蒸着物のLaの比率を大幅に減少することが可能となり、Ceの原子比率を増加させることが可能であったため。また、使用済み研磨剤の照射スポットを走査することで捕捉した白色蒸着物についてさらに厚膜化が可能となり、少量でも可能な模擬的研磨試験方法を確立し、使用済み研磨剤と白色蒸着物の研磨特性の比較が可能となったため。また、405nmの短波長のレーザーについては使用済み研磨剤への直接のレーザー照射により蒸気は発生しないものの、表面成分の質量比への影響があることが明らかとなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
808nmレーザー照射システムにおいては、照射により捕捉できる白色蒸着物を研磨剤として使用した模擬的研磨試験を継続して実施し、その研磨特性を明らかにする。また、大気中において使用済み研磨剤への405nmレーザー照射に対する照射前後の成分変化についての再現性確認試験を実施する。 さらに、ガラス用研磨材に多く含まれる酸化ランタンについても本手法により分離回収可能であるかどうか調査する。具体的にはLaの吸収波長に関する文献調査と、La成分が多く含まれる酸化セリウム研磨剤を入手し、本年度構築したシステムを使用し、808nm及び405nmレーザーを使用した照射試験を照射面の分析を行う。また研究成果の公表を行う。
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