2015 Fiscal Year Research-status Report
冷凍ピンチャックによる無反り薄型基板創成研磨に関する研究
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15K05748
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
吉冨 健一郎 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 准教授 (40546149)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 冷凍ピンチャック / 冷凍液 / 石英ガラス / 研磨 / 反り / 凝固保持 / 基板変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)冷凍ピンチャックの回転時基本特性:本研究で使用する冷凍ピンチャックは,冷却液を供給してチャックを冷却するための機構として,チャック内部に独立した2系統の配管を設けている.実使用条件でのチャック回転時における基本保持特性を調べ,チャック冷却系統により約20minでチャック全体を5℃以下に冷却可能であること,ピン間冷却液供給用系統によりチャック100min-1の回転時においても冷却水をピン間に空気層を生じさせることなく供給できることを実証した. (2)冷凍液塗布法の最適化:冷凍液の霧化条件と噴霧位置を最適化し,霧化ノズルの回転数を20000rpm,噴霧位置をチャック中心から75mmとすることでピン上へ高さ180μm以上の液滴をチャック全面に塗布することを可能にした. (3)基板載置時の変形要因の解明:φ300mmの石英基板の載置時には,液体状態の冷凍液により生じるメニスカス力の影響により,初期反り量約120μmの基板に対して90μm以上の変形を起こすことを明らかにした.また,ピンと基板の間隙の大きさに対するメニスカス力を明らかにした.さらに,小型の冷凍ピンチャックにより,基板載置時に冷凍液が潰される過程を高倍率カメラで観察し,冷凍液を潰さない載置状態があることを見出した. (4)基板を変形させない基板載置法:メニスカス力の影響を最小限にするため,低温載置法と融解載置法を考案し,それぞれの基板変形特性を調べた.低温載置法は,予め凝固させた冷凍液上に反り量分を融解するだけの温度に予熱した基板を載置する方法であり,基板変形は従来の約70%に抑制できた.融解載置法は,予め凝固させた冷凍液上に冷凍液が完全に融解する温度に予熱した基板を載置する方法であり,基板変形を従来の約30%まで抑制できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題であった基板変形を抑制可能な基板保持システムの確立を達成し,次のステップである反りの除去研磨実験を行うことが可能であるため.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)研磨実験:確立した基板保持システムを用いて,石英ウエハの研磨実験を行い,標準研磨条件における研磨特性を明らかにする.また,基板はく離を起こさず研磨可能な加工圧力や回転数を実験的に明らかにし,冷凍ピンチャック使用時の適正加工条件を決定する. (2)研磨シミュレーション:反りの除去研磨のための揺動速度制御型研磨シミュレーションについて,すでに確立済みのシリコンウエハの平坦化研磨シミュレーションをベースに開発し,最適加工条件を導出する. (3)反りの除去研磨実験:100μm以上に大きく反った基板に対して反りの除去研磨を実施し,提案する加工プロセスの検証を行う.
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Causes of Carryover |
計画していた研磨機の改造について,仕様の調整を進めている段階であり,H27年度の要求に間に合わなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
仕様が決定次第,要求する予定である.
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