2016 Fiscal Year Research-status Report
トライボ圧縮静水圧による局所的材料硬化を活用した高品位切削法の新開発
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15K05753
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
清水 淳 茨城大学, 工学部, 教授 (40292479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周 立波 茨城大学, 工学部, 教授 (90235705)
小貫 哲平 茨城大学, 工学部, 准教授 (70400447)
尾嶌 裕隆 茨城大学, 工学部, 准教授 (90375361)
山本 武幸 茨城大学, 工学部, 技術職員 (40396594)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トライボロジー / 機械工作・生産工学 / 切削 / 計算物理 / 静水圧 / バリ / 加工変質層 / 工具 |
Outline of Annual Research Achievements |
切削による除去加工において,延性材料ではバリを代表とする余分な塑性変形を,脆性材料では,き裂の拡大による破壊を極力低減させることが,加工後の表面品位を向上させるために求められている.本研究では,すべりないし転がり接触圧により,延性・脆性材料の加工領域に局所的に圧縮静水圧を付与することで材料を硬化させ,簡便に余分な塑性変形やき裂を抑制しつつ精密かつ高品位に切削する新手法を開発する.これにより,研削を用いなければ得難いとされている圧縮静水圧環境を切削にも導入可能となり,高表面品位の加工が実現できると考えられる. 平成28年度は,まず,前年度に製作したすべり冶具と切削工具を一体化させたすべり式の局所静水圧付与型単結晶ダイヤモンド切削工具により,純銅を対象に微小引っかき加工装置上において微小切削実験を試みた.その結果,工作物を加圧するためのすべり冶具により,工作物の切削領域に十分な圧縮作用がもたらされれば静水圧による作用が発現し,バリは低減されることが観測された. さらには,汎用旋盤上で,汎用切削チップに高速度工具鋼製のすべり冶具を付与したすべり式の局所静水圧付与型切削工具も設計・製造した.製造した工具を用いて純アルミニウム棒材を切削した結果,静水圧の効果から,すべり冶具を付与した場合は慣用切削に比べバリの生成が抑えられることも確認された.そして,これらの結果が前年度に試みた分子動力学シミュレーションの結果とよく似ていることを確認した. 次に,汎用切削チップに,市販の小型玉軸受のレースの外側が工作物と接触する方式を採用した転がり治具として付与した,転がり式の局所静水圧付与型切削工具を設計・製作した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に,当初の予定のとおりに,すべり治具付き静水圧付与型工具を用いた微小切削および汎用切削の実験を実施し,バリの抑制に対する提案手法の有効性が示され,さらには,転がり治具付き静水圧付与型工具の設計・製作が実現できた.これにより,平成29年度には,当初の予定のとおりに,転がり治具付き静水圧付与型工具による切削実験と評価,さらには成果のまとめ(すべり・転がり冶具式局所静水圧切削実験結果とシミュレーションの比較を含めた総合的な評価)が実施できることから,上記の判定とした. ただし,計画に遅れが生じることを避けるため,当初の研究計画書に記載したように,工作物材料を絞る選択をした.具体的には,脆性材料に対する評価は諦め,延性材料に対する評価に絞り,遅れが生じないよう配慮した.
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Strategy for Future Research Activity |
計画を遅延させないため,当初の研究計画書にも記載したように,被削材を延性材料に絞る変更を取り入れたものの,平成28年度は,当初の計画のとおり,すべり治具付き静水圧付与型工具を用いた微小切削および汎用切削の実験を実施し,バリの抑制に対する提案手法の有効性が示され,さらには,転がり治具付き静水圧付与型工具の設計・製作が実現できた. よって,平成29年度の計画に示したように,転がり治具付き静水圧付与型工具による切削実験と評価,さらには成果のまとめ(すべり・転がり冶具式局所静水圧切削実験結果とシミュレーションの比較を含めた総合的な評価)が実施する方針である.
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Causes of Carryover |
平成28年度に転がり治具を付与した局所圧縮静水圧生成型切削工具の試作はある程度できたものの,平成29年度の実切削による性能評価を受けて,さらなる工具の改良が必要になることが高確率で予想されることと,それに伴い実切削実験における学生アルバイトへの人件費が当初予想より膨らむ可能性が高いことから,それらに対する費用を平成28年度に先送りすべきと判断したためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
比較的早期に各種工具を購入して改良型工具を製作するとともに,学生アルバイトを起用しての追加実切削実験を遂行する.
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