2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a mathematical model of expectation effect
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15K05755
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 秀吉 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20396782)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 期待効果 / 素材認識 / 感性 / クロスモーダル |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は、H27年度に構築した期待効果の数理モデルにもとづき、期待効果が材質の認識に及ぼす影響を視覚と体性感覚(触覚や重さ)の組合せについて調べた。 H29年度は、合成するモダリティとして視覚と聴覚の組合せについて調べた。すなわち、ある素材からなる物体をたたいたときの音を合成し、見た目の素材と異なる音を呈示することで、素材認識がどのように変化するかを明らかにした。具体的には、真鍮とアルミニウムの打撃音についてシャープネス(音の高さ)と減衰率を段階的に操作した音を合成呈示した。実験の結果、シャープネスと減衰率を独立に操作した場合、素材認識に有意な変化は見られなかった。一方、シャープネスと減衰率を同時に操作した場合、オリジナルの音から離れるにつれて素材認識が変化し、Void素材認識が認められた。このことから、シャープネスと減衰率を独立に操作した場合は見た目の期待に同化し、同時に操作した場合には対比が生じたと考えられる。この結果は、H27で構築した数理モデルにもとづく仮説を支持した。仮説では、外乱が大きい場合には同化が生じやすく、感覚の外乱が小さい場合には対比が生じやすいとしていた。シャープネスと減衰率を独立に操作した場合の音は、自然界に存在する材料にはあり得ない打音であり、不確実な感覚、すなわち外乱が大きい状態であるといえる。そのため、同化が生じたと考えられる。一方、シャープネスと減衰率を同時に操作した場合の音は自然界に存在する材料の音が存在する領域であったため、外乱が少ない音であるといえる。そのため対比が生じたと考えられる。 以上から、H27年度に定式化した期待効果の数理モデルが、視覚、聴覚、体性感覚の組合せによる材質認識において有効であることが示された。このことは、提案した期待効果モデルが、素材の知覚と認識のクロスモーダルについて一般的に説明しうることを意味する。
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Research Products
(3 results)