2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K05757
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 健太郎 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (60359693)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 濡れ / 接触角 / 接触線 / 毛管力 / 液体架橋 / 干渉縞 |
Outline of Annual Research Achievements |
液体架橋が介在する二面が相対運動するとき,架橋の変形あるいは固液濡れ界面の移動を原因とする摩擦抵抗が働くことが知られている.本研究では,固液界面の移動を精密に捉えることで架橋の変形の程度を見積もり,摩擦抵抗との関係を調べることを目的としている. 液体架橋のせん断過程を解析的に捉えるために,粒子法(SPH,Smoothed Particle Hydrodynamics)を用いた数値解析手法を開発した.この方法は,気液界面の大変形を捉えるのに適した方法で,液体架橋がせん断されて,傾き,引き伸ばされる過程を捉えるのに成功した.また実験との比較においても摩擦抵抗と架橋の変形の関係について定量的に一致した結果が得られた.これらの成果を,World Tribology Congress (WTC 2017)において公表した(Kentaro Tanaka, Katsumi Iwamoto,"Numerical Simulation of Shearing Liquid Bridge"). 昨年度までに実施した実験の結果および上述の数値解析により,接触線の運動が重要であることが明らかになった.これを精密に観察するために,干渉縞を利用した接触線近傍の接触角・接触線を観察する装置を開発した.運動面の下方から照射したレーザ光が,固液界面および気液界面で反射する際の光路差による干渉縞により,接触線の運動と従来の方法では捉えるのが難しかった,極めて小さい接触角の評価が可能になった.これらの成果をWTC2017で公表した(He Li, Kentaro Tanaka, Katsumi Iwamoto,"Observation of Contact Angle of Water Droplet by Fringe Method with Bottom Up Oblique Incident Light").
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SPH法による数値解析結果と実験結果が予想以上によく一致した.一方で,実験結果を完全に説明するためには,これまでの数値解析手法では,ほとんど実装されていない接触線のピン止め効果を考慮する必要があることもわかった.ただ,この効果については,確立された計算モデルがなく,また接触線の運動についての信頼できる実験結果もない.計算モデルについては,試行錯誤をしている状況である.実験については,干渉縞による観察によって有用な結果が得られると期待している. このように今後なすべきこともあるため,「概ね順調に進展している」を判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
数値解析については,SPH法で接触線のピン止め効果を表現できる計算モデルの導入を進める. 実験については,干渉縞による観察によって,接触線の運動と接触角の変化に関する知見を得る.
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Causes of Carryover |
濡れ界面にレーザ光を照射し,干渉縞を撮影することで気液濡れ形状(接触線・接触角)の精密測定を行える実験装置の開発を進めた.しかし当初想定していた以外の干渉縞を見出した.これはマクロに観察される濡れの際(接触線)の外に極薄で広がっているであろう先行膜の存在による可能性があった.このことを明らかにするための追加の実験開発・解析に時間を要した.また得られた知見を公表するための学会参加の機会を得るために期間の延長をするに至った.
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Research Products
(6 results)