2017 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of joint prosthesis rubbing surface with low friction property by clarifying adsorption mechanisms of protein molecules
Project/Area Number |
15K05765
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
中嶋 和弘 帝京大学, 福岡医療技術学部, 准教授 (70315109)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人工関節 / 蛋白質 / 吸着膜 / 低摩擦 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体関節液に含まれる蛋白質吸着による摩擦挙動について解明した。その結果、蛋白質吸着には摩擦による影響が大きく、蛋白質の種類によって摩擦特性が異なり、それらの特性を協調的に作用させることによって摩擦低減効果を発揮することが可能であることを示した. 生体関節液に含まれる蛋白質のうち、アルブミンとγ-グロブリンに着目し,それぞれの蛋白質の吸着特性と摩擦に及ぼす影響について調査した. まず、蛋白質の吸着についてはアルブミンの静的吸着特性はγ-グロブリンと比較して吸着性が少ないことが示された.2種の蛋白質が混在する生体関節液においては摩擦域外の表面にはγ-グロブリンがリッチな静的吸着膜が形成されると考えられる.アルブミンは摩擦刺激により摩擦初期は吸着傾向を示すが,摩擦距離の増加と共に剥離する傾向が観察された.一方、γ-グロブリンは剥離しても表面に吸着している蛋白質量はアルブミンより多いことが観察された.従って,2種の蛋白質からなる系において静的吸着で形成されたγ-グロブリンリッチな膜においてもγ-グロブリンの吸着量が多く,アルブミンは摩擦により剥離し,よりγ-グロブリンの比率が増加すると考えられる.さらに摩擦後に液中に含まれる蛋白分子が静的吸着すると考えられるため,摩擦下で形成された蛋白質膜に対する静的吸着量を測定したところ,摩擦環境下で形成されたγ-グロブリン膜へアルブミンの静的吸着量はほぼ発生しないことを観察した.従って摩擦後にγ-グロブリンの静的吸着が起こり,γ-グロブリンからなる吸着膜が形成されることが明らかとなった.γ-グロブリンの吸着膜に対するアルブミンの吸着が起こらない、即ち、アルブミン分子はγ-グロブリンに対する吸着力が小さいことから摩擦抵抗が小さいことが考えられる.γ-グロブリンとアルブミンの吸着特性の差異により低摩擦を維持した摩擦特性を実現できると考えられる.
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