2015 Fiscal Year Research-status Report
繊維強化プラスチック折紙型の革新的な軽量化構造の開発とその基盤技術に関する研究
Project/Area Number |
15K05769
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
趙 希禄 埼玉工業大学, 工学部, 教授 (30610307)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 軽量化構造 / 複合材料 / 設計方法 / 折紙工学 / 最適設計 / 力学特性解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)代表者グループが既に得ている繊維強化プラスチック(以下FRPと称する)から構成する積層板および偏平シェルの力学特性解析に関する研究成果を整理して、さらにそれらの研究成果をベースに、FRPからなる三角錐や多角台形など折紙構造の基本コアの力学特性に対し詳細な検討を行った。折線配置と繊維配向角より構造剛性補強への影響を分析し、FRP折紙構造の基本コアの等価弾性係数を検討して部分的な研究結果が得られた。 (2)トラスコアパネルの基本コア形状データから最も代表的なコア形状を選択して、それを加工するための金属製金型を設計し加工した。更に加工した専用の金型を利用してFRP基本コアを加工する方法を開発して、得られたコアと別途で加工した同一材料のFRP平板と接着剤で組み立てることによって実験用のFRPトラスコアパネルの作成が実現できた。 (3)得られたFRPトラスコアパネルと同一材料のハニカム軽量化パネルの力学特性の優位性を検討するため、有限要素法解析と実験計測の2つの方法を利用して、それぞれの固有振動特性を検討し比較することによって有益な研究結果が得られた。 (4)上記の検討と並行して,研究者グループが開発している補正付き摂動法をFRP折紙構造問題に適用できるための汎用化を行って見たが、補正付き摂動法とは,従来の摂動法に用いられる固有ベクトルに補正項を加えることにより構造変更解析の精度と計算効率が大幅に向上できるものである。これを利用して折線配置と繊維配向角を同時に大幅に変更させても精度よく変更解析できる高度化を図るためのベースとなる研究結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、理論的な研究基礎となるFRP積層平板と偏平シェルの解析方法がほぼ確立できており、折紙構造の基本コアに関する力学解析方法についても検討して部分的な研究成果が得ている。 次に、FRPトラスコアパネルの実験のために必要となる少量多種類のサンプル試験片の加工問題を解決しており、今後の研究展開に最も重要な基本条件が揃えている。 最後に、補正付き摂動法をFRP折紙構造問題に適用できるための汎用化を行って、部分的な成果が得られ、今後のFRPトラスコアパネルの最適設計への展開に一歩前進した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、前年度で得られた研究結果の妥当性と新しいFRP軽量化トラスコアパネルの力学特性をサンプル試験および有限要素法数値解析によって検証して、最適なFRPトラスコアパネルの基本コア構成を求めるための研究開発を深く展開して行く予定である。まず、サンプル試験によりFRPトラスコアパネルの力学特性について詳細な検討と定量的評価を行う。次に、FRPトラスコアパネルの加工方法の安定化と効率化を検討し、それに関連する成形用金型の開発を行っていく。最後に、数値解析法により折線パラメータと繊維配向角の最適な組み合わせに関する検討を行い、それらによりFRPトラスコアパネル軽量化構造の力学特性への影響を定量的な検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究プロジェクトの研究開始時期が遅れることに起因して、また今年度の研究活動には企画プランや研究調査などに時間を掛けることもあり、実質的に今年度の研究活動の時間が大幅に短くなることが、次年度使用額が生じる主な原因と考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度にたてられた研究プランに従い、サンプル実験と数値解析の2つの研究方法で研究を展開して行く予定である。
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