2017 Fiscal Year Research-status Report
浸炭鋼の転動疲労寿命向上に対応した水中キャビテーションピーニングの構築
Project/Area Number |
15K05775
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
關 正憲 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (10314650)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 機械要素 / 表面処理 / キャビテーション / 壊食 / 質量損失 / 転動疲労 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,キャビテーションピーニング(CP)条件の最適化を行った上で,浸炭鋼の転動疲労試験により転動疲労寿命に及ぼすCPの影響を検証する.そして,浸炭鋼の転動疲労寿命の向上に対応した水中CPを構築することを目的とする. CPノズルはノズルアダプタ,ノズルプレート,ノズルキャップで構成され,これらの構成部品はステンレス鋼製である.平成29年度では,前年度までに得られた最適なノズル形状から2条件を選定し,その2条件でCPを施した浸炭鋼の転動疲労試験を行った.ノズル形状として,ノズルキャップ穴径5.6 mm,ノズルキャップ穴長さ5.6 mmを固定し,1つはノズルプレート穴径0.9 mm,ノズルプレート穴長さ2.4 mmであり,もう1つはノズルプレート穴径1.0 mm,ノズルプレート穴長さ1.6 mmである.前者の条件名をCP1とし,後者の条件名をCP2とする.前年度までにCP処理時間30 minで転動疲労寿命が最も向上したことから,CP処理時間は30 minとした. 壊食試験では,CP1よりCP2の質量損失が大きく,浸炭鋼の表面硬さ,表面圧縮残留応力,表面粗さにおいてもCP1よりCP2の方が大きい結果となった.転動疲労試験の結果,CP1,CP2のいずれもCPによって転動疲労寿命が向上したが,CP1を施した浸炭鋼よりCP2を施した浸炭鋼の転動疲労寿命が短い結果となった.転動疲労試験では,表面粗さの影響を受けやすいことから,表面粗さが大きかったCP2の浸炭鋼において転動疲労寿命があまり向上しなかったと考えられる. したがって,CPによって転動疲労寿命が向上することを確認したが,CP条件によっては転動疲労寿命の向上が得られにくい場合があることを確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キャビテーションピーニング(CP)を施した浸炭鋼の転動疲労試験を行った.その結果,CPによって転動疲労寿命が向上するが,CP条件によっては転動疲労寿命があまり向上しない場合があることを確認した.キャビテーションピーニング装置や転動疲労試験機が故障するなどのトラブルはなく,実験を順調に進めることができた.CP条件においてノズル形状は重要であるため,同形状のノズル構成部品を複数製作し,適宜,交換している.また,CP装置を構成する部品の中には,市販のものだけでなく,自作のものもあるため,図面を準備して,すぐに部品を外注できるような態勢を整えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,キャビテーションピーニング(CP)条件によって転動疲労寿命が変わることを確認できた.平成30年度では,ノズル形状を詳細に調査し,最適なノズル形状を決定する予定である.また,いくつかの条件でCPを浸炭鋼に施し,転動疲労試験を実施する予定である.そして,浸炭鋼の転動疲労寿命に及ぼすCPの影響を検証する.
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Remarks |
岡山理科大学 工学部 機械システム工学科 機械設計研究室ホームページ http://ww41.tiki.ne.jp/~mmk-seki/
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Research Products
(4 results)