2016 Fiscal Year Research-status Report
化学反応器としてのマイクロバブルの可能性とその応用に関する研究
Project/Area Number |
15K05781
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金子 暁子 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40396940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 豊 筑波大学, システム情報系, 教授 (10241720)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 混相流 / マイクロバブル / ベンチュリ管式微細気泡発生装置 / 環境負荷低減 / レジスト除去 / 濁水処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベンチュリ管式微細気泡発生装置により発生したマイクロバブルの化学的,電気的特性を活用することを目的としている. (1) ベンチュリ管式オゾンマイクロバブルを用いたレジスト除去技術の確立.①円盤型および円盤段差付きノズルを作製し,オゾン水単相およびベンチュリ管式オゾンマイクロバブルにおけるレジスト除去効果について調査した結果,段差付きノズルの段差部分においてレジスト除去率が増加した.これはオゾン水単相およびオゾンマイクロバブルの両方において生じた.また,オゾンマイクロバブルの方が管出口におけるオゾン水濃度が増加し高い洗浄効果を有すことを示した.洗浄時間の増加や液相流速の増加に伴い,残存レジスト膜厚が減少することを明らかにした.ベンチュリ管式オゾンマイクロバブルによる洗浄は液相流速及びオゾン水濃度の影響を受け,既存手法に比べて数倍の高い洗浄速度を有すことが分かった. ②回転円盤間内における流動挙動の詳細可視化を実施した.マイクロバブルは洗浄面に衝突した後,下流において渦状に流下する様子を明らかにした.これらの流動挙動はこれまでに実施した数値解析結果と整合していることを示した. (2) 大型貯水池濁水処理のための凝集剤拡散技術の確立.①ベンチュリ管にアロフェンと気液二相流を通過させ,アロフェンの微粒化を調べた結果,ベンチュリ管を一度通過することでアロフェンが10分間の超音波撹拌後と同程度まで微粒化することを示した.このアロフェンを模擬濁水に添加することで,土粒子の沈殿が促進され,水の濁りが改善された.また,土粒子の沈降速度は気相・液相流量,ベンチュリ管の有無に依存した. ②アロフェンのζ電位計測を実施するための準備及び予備実験を行った,凝集剤の拡散性能を明らかにするため,可動式沈降筒評価装置を設備した.これにより,拡散性能を詳細に調査することが可能となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) ベンチュリ管式オゾンマイクロバブルを用いたレジスト除去技術の確立においては,ベンチュリ管式微細気泡発生装置をこれまでに提案していた枚葉式スピン洗浄装置に組み込み,フォトレジスト除去性能について実験的に調査し,さらに回転円盤間における流動構造を明らかにする予定であった.これに対して,気泡発生装置の組み込みによるオゾンマイクロバブルを利用することで,高いレジスト除去効果を得ることを定量的に明らかにした.また,既存手法に比べて2~4倍と高い洗浄能力を有すことを示した.さらに,円盤間流動場を可視化することにより,これまで得られていた数値解析と同様の流動構造となることを実験から明らかにした. (2) 大型貯水池濁水処理のための凝集剤拡散技術の確立においては,H27年度に引き続き流動条件をパラメータにし,ベンチュリ管流出時のアロフェン粒子径をレーザ回折・散乱法により計測した.高流速条件において,ベンチュリ管を介さない条件ではアロフェン径分布のピークが約300μmであったのに対し,ベンチュリ管を介すことでこれが8μmとなり,ベンチュリ管を通過することでアロフェンが微粒化することを示した.また,ベンチュリ管通過回数の影響についても調査した.さらに,沈降筒を用いた濁水処理実験を実施し,ベンチュリ管を用いないアロフェンと,ベンチュリ管を介して微細化したアロフェンを投入した場合の濁度の変化を調査した.この結果,ベンチュリ管を介した場合の方が濁度の低下が促進される結果を得た. アロフェンと微細気泡間の相互作用を明らかにするために.ゼータ電位計測システムと可動式沈降筒評価装置を準備した.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)平成28年度における②可視化において明らかになった気泡挙動を参考に,気液二相流における流動場の詳細可視化を実施する.レジスト除去実験と合わせて考察することで,流動条件に対するフォトレジスト除去のメカニズムに資する知見を得る.実用化に向けて,本レジスト除去技術の性能と適用条件を明らかにする.さらに,ベンチュリ管式微細気泡発生装置を用いた環境負荷低減型洗浄装置の応用可能性について探る. (2)①アロフェンの微粒化について,各流動条件の影響を明らかにし実用化に即した適用条件を調べる.②アロフェンの拡散性能を明らかにするために,可動式沈降筒評価装置を用いたアロフェンの拡散挙動を調べる.また,アロフェンとマイクロバブル間の相互作用を明らかにするためゼータ電位計測を実施する.
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Remarks |
SATテクノロジー・ショーケース2017「ベンチュリ管式微細気泡生成装置による凝集剤の微粒化と濁水処理」において「ベスト異分野交流賞」を受賞.
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Research Products
(10 results)