2016 Fiscal Year Research-status Report
フリップフロップノズルを利用した流動制御器の開発と対向噴流のよどみ点制御への応用
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15K05789
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
角田 博之 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (10207433)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 対向噴流 / 流体制御 / フリップフロップノズル / プラズマアクチュエーター |
Outline of Annual Research Achievements |
フリップフロップノズル(以後,FFNと記す)にDBDプラズマアクチュエーター(以後,PAと記す)を組み込むことでPAの誘起流れをトリガにした流体制御デバイスの開発ならびに本デバイスを利用した円形対向噴流の動的制御を研究目的とする.初年度の研究実績は以下の通りである. 1. FFNを利用したPA増幅流体制御デバイスの開発と検証 初年度に製作した二次元噴流用小型風洞にFFNを組み込み,フィードバック流路を設けることで,PAによる強制励起に先立ち,まずは自励振動する噴流の特性を調べる実験を試みた.しかしながら,フィードバック流路の流動抵抗が大きかったためか,噴流自励振動を実現できなかった.そこで,流動抵抗がより小さくなるよう流路形状を改善し,現在その実験準備を進めている段階である.以上の実験に加え,PA励起噴流のCFD解析を試みた.その結果,噴流が発振するために必要なPA供給運動量の大きさが明らかとなり,その研究成果を学会で口頭発表した.本解析結果は最終年度のPA強制励起による噴流発振実験に向けて重要な基礎的資料となった. 2. 流体制御デバイスを利用した対向噴流の能動制御 前年度に引き続き,対向噴流制御の基礎的資料を得るために,音波を利用した対向噴流制御の実験を行った.噴流供給用風洞のセトリングチャンバーに2台のスピーカーを取り付け,チャンバー内を通る流体を様々な周波数で音響励起した上で一様流に対向して噴出した.対向噴流の下流方向への発達を噴流と対向一様流の速度比を変化させて可視化した.その結果,速度比に依存してある特定の周波数で励起した場合に,噴流到達距離の若干の変化が見られ,今後のPA増幅流体制御デバイスによる噴流制御にむけて貴重なデータを得ることができた.なお,今後,新規購入した高速度カメラを用いてPIVで速度場を詳細に調べ,得られた研究成果を国内学会で口頭発表する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的1では,a) 数値解析を利用してFFNにおいて噴流発振に必要な誘起流れの大きさやPA設置位置を調べること,ならびに,b) PAを利用した流体制御デバイスを完成させること,の2つを第2年度の研究目標とした.このうち,目標a)についてはほぼ達成できたが,目標b)についてはFFNの完成が遅れ,最終年度に向けての達成課題となった.研究実績の概要で述べたとおり,不具合の原因が判明しているので,最終年度において早急にFFNを完成させ,PAによる強制励起噴流を実現させていきたい. 研究目的2の目標は初年度に行った音波による対向噴流の攪乱に関する実験の継続であった.初年度とは異なる方法で噴流を音響励起したことにより,対向噴流の下流方向発達に関して明確な音響励起の影響を観察できた.ただ,可視化による観察のみであり,PIVを利用した速度場計測には至らなかった. 以上のことから,研究進捗状況は③の当初計画に対してやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的1については,まず第2年度に完成に至らなかったFFNの改良に取り組み,初年度に製作した噴流生成用小型風洞を用いて自励振動噴流の実現を目指す.PIVで流れを測定し,発振周波数などの噴流特性を詳細に調べる.その後,FFNからフィードバック流路を外し,PAを組み込んで強制励起による噴流発振を試みる.第2年度の数値解析から,噴流発振に必要なPA設置位置やPA供給運動量比(噴流運動量に対する比)が明らかになっているので,これらの知見を基に噴流速度などの実験条件を決定し,噴流が実際に発振するかを調べる.噴流発振の実現後,PAによる励起流れの誘起周波数を変えることで噴流発振周波数を制御できるかを調べる.PIVで流れ場の測定を行い,流体制御デバイスとしての特性を明らかにする. 研究目的2については,音波による対向噴流制御に関する実験を継続し,特に,1程度の小さい速度比と10程度の大きい速度比の場合に対して,音響励起によって対向噴流の特性がどのような影響を受けるかを音響周波数を変化させて詳細に調べる.以上の研究で得られた知見を基に,研究目的1で完成させたPA強制励起によるFFN流体制御デバイスを用いた対向噴流制御の研究に対する可能性を探り,次年度以降に向けての研究に対する課題を探る.
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Causes of Carryover |
初年度に行ったPAで誘起される流れの速度を調べた試験実験,ならびに第2年度に行ったPA強制励起による噴流発振に関する数値解析の結果から,単一のPAで噴流を強制励起するには誘起流れの運動量が足りないことが明らかとなった.そこで,噴流を挟んで2つのPAを対向設置する工夫を行い,これにより少ない運動量でも噴流が発振することが数値解析から分った.PAを駆動するための高電圧交流電源は研究初年度に科研経費から購入しているが,1台しか購入しておらず,現状では2つのPAを同時駆動できない.そこで,PA駆動用電源を最終年度にもう一台購入する必要が生じ,経費使用計画の見直しを行い,購入に必要な一部経費を次年度使用額として残した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度の経費使用計画では,学術論文の発表と学会参加費用を経費の大部分に充てる.それらに必要な経費は使用経費として残さざるを得ないことから,材料や消耗品などの購入に充てるための物品費やその他の経費に上記で説明した次年度使用額を加えて,PA駆動用電源の購入に充足することにした.購入額が使用予定額を上回る場合には別経費と合算して購入に充てる.
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Remarks |
山梨大学研究者総覧 http://erdb.yamanashi.ac.jp/rdb/A_DispInfo.Scholar/0/B2A57D3667CE94AB.html
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Research Products
(2 results)