2017 Fiscal Year Research-status Report
交互送液法を利用した大量処理適応型マイクロリアクタの開発
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15K05810
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
冨士原 民雄 東京都市大学, 工学部, 准教授 (60366846)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロチャネル / フォトリソグラフィ / 厚膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究テーマは、交互送液法を利用した大量処理適応型マイクロリアクタを開発することを目的としている。そのための前段階として、リアクタ用マイクロチャネルの作製法を開発した。当技術は、フォトリソグラフィを応用し、厚さ数百ミクロンオーダの厚膜フォトレジスト層を基板上に形成することで、その厚さ相当の深さを持つマイクロチャネルを、高精度かつ自由度の高い形状で製作するものである。 フォトレジストには、一般に厚膜用として知られるSU-8を用いる。SU-8の通常の適用範囲は100ミクロン以下でるが、本テーマではこれを用いて400ミクロンの厚膜を形成する手法を確立してきた。400ミクロン相当の量のSU-8を基板に塗布しても、厚さが一様にはならないことから、当手法では塗布したレジストを機械的に矯正することで、所定の厚さに均一化するものである。 しかし、昨年度より、一旦確立された手法、手順、条件で矯正を行うと、レジスト層が破断するようになり、厚膜を形成することができなくなったため、昨年度はその理由の調査と、厚膜を矯正できる手法の再検討を行うこととなった。 以前の方法で矯正が出来なくなった原因は、SU-8の製造ラインやロットによる差が推定されて、また薬瓶を開封してからの履歴によっても、矯正結果に大きな差がでることが分かった。このことから、SU-8の状態のばらつきによらず、矯正を成功させるための手順や条件を調査し、一定の成功率で形成ができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「研究実績の概要」に述べたように、本研究テーマの根幹技術でる厚膜形成法は、助成が始まる以前より研究を行っていたが、昨年度から確立していた条件では、厚膜が形成できなくなり、改めて手法や条件の見直しをせざるを得なくなった。 この作業は、非常に時間を要するものである上、申請者所属機関の運営上の理由により、共同研究者として一緒に実験を行う予定だった人員を充当できなかったため、さらに時間を要するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画の第1段階であった、厚膜形成技術がほぼ確立できたので、これを完成させ、交互送液型マイクロリアクタ用マイクロチャネルの製作を行う。 製作したマイクロチャネルを用い、交互送液型マイクロリアクタのチャネル内の混合過程をメチレンブルー水溶液を用いて、可視化する。その可視化結果の画像を解析することで、流路内のメチレンブルー濃度分布を定量化し、混合状態を評価する。これにより、大量処理のための流路形状と送液条件の最適化を行う。この段階では、交互送液は外部のシリンジポンプにより行う。 研究の最終段階では、送液システムを自前で持つマイクロデバイスに集約する。そのためのポンプとして、マイクロスロットルポンプを採用し、マイクロリアクタチャネルにこれを組み込む手法を開発する。
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Causes of Carryover |
本研究テーマの第1段階として開発していた厚膜形成技術について、使用薬品の条件の変化に伴い再検討を行ったため、次に予定していた実験に進むことができなかったため。 次年度は当初の計画に則り研究を遂行するために助成金を使用する。
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