2016 Fiscal Year Research-status Report
同軸噴流拡散場における混合現象の解明と制御に関する研究
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15K05812
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
久保 貴 名城大学, 理工学部, 准教授 (20372534)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乱流 / 同軸噴流 / 拡散 / 混合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,液相における同軸噴流拡散場の混合現象を解明することを目的として,円形噴流物質およびその周りの環状噴流物質の二成分濃度を,吸光スペクトル法により同時測定する。そのために,高空間・高時間分解能の多成分濃度測定システムの開発を行い,同軸噴流拡散場の統計的性質を明らかにする。特に,円形噴流と環状噴流の速度差や Reynolds 数を変化させた場合の,拡散幅などの混合特性を明らかにする。さらに得られた知見をもとに,流れ場に攪乱を加えることによる,同軸噴流拡散場の混合促進などの制御の可能性について検討を行う。 平成28年度は,昨年度開発した青色のレーザーダイオード(Laser Diode,以下LD)による単成分の高空間・高時間分解能濃度測定システムに,赤色のLDを加えることにより,二成分濃度同時測定システムへの拡張を行った。 この開発した二成分濃度同時測定システムを用いて,同軸噴流拡散場において濃度測定を行った。円形噴流に黄色の染料,環状噴流に青色の染料を加えた,二成分濃度の同時測定を行い,同軸噴流拡散場の基礎的な特性を明らかにした。また,速度場については粒子画像流速測定法(Particle Image Velocimetry, PIV)により測定を行い,同軸噴流場の基本的な流れ場の構造を調べた。さらに,円形噴流と環状噴流の速度比を変化させた場合の速度,濃度測定も行い,同軸噴流拡散場への影響についても考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄にも示したように,平成28年度は高空間・高時間分解能の二成分濃度同時測定システムの開発を行った。昨年度開発した青色のLD(中心波長488 nm)による単成分の高空間・高時間分解能濃度測定システムに,赤色のLD(中心波長635 nm)を加えることにより,二成分濃度同時測定システムへの拡張を行った。LDを出た二つの波長の光は,光ファイバーを通して,濃度測定プローブの先端で二成分物質の濃度に応じて光が減衰する。減衰された光をそれぞれの波長に分光し,光電子増倍管(PMT)により増幅させることにより,より高精度な濃度測定を行った。 さらに開発した二成分濃度同時測定システムを用いて,同軸噴流拡散場において濃度測定を行った。円形噴流に黄色の染料,環状噴流に青色の染料を加えた,二成分濃度の同時測定を行い,同軸噴流拡散場の基礎的な特性を明らかにした。 以上のように,二成分濃度の同時測定システムの開発を行い,同軸噴流拡散場で二成分濃度を測定することにより,その有効性を確認できたことから,「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,二成分の濃度を同時測定可能なように改良した,上記の濃度測定システムを用いて,同軸噴流拡散場において二成分濃度を対象とした実験を行う。円形噴流に黄色,環状噴流に青色の染料を加えた二成分の濃度同時測定を行い,本研究で開発した二成分濃度測定システムの精度や有効性を評価する。 また,円形噴流と環状噴流の速度比や Reynolds 数を変化させることにより,同軸噴流拡散場の統計的特性および混合機構の解明を行う。 さらに,上記で得られたデータや混合機構に関する知見をもとに,同軸噴流拡散場の拡散・混合の制御を行う。具体的には,円形噴流,環状噴流の一方または両方に,水中スピーカー等により攪乱を加え,その周波数や大きさによる,同軸噴流の拡散幅や混合特性への影響を調べる。 研究結果を逐次,学術雑誌へ投稿することにより成果を公表するとともに,学会やシンポジウムにおける口頭発表も積極的に行う。また,研究成果をホームページにも掲載することにより,社会・国民に発信を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(B―A)=3,180円が生じた。本年度必要な物品費についてはほぼ計画通り使用し,消耗品について慎重に検討しながら使用した結果生じたものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記次年度使用額は1万円以下であることから,来年度以降実験を行っていく上で必要となる物品費の使用に当てる予定である。
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