2016 Fiscal Year Research-status Report
気泡流に対する二流体モデル方程式の数学的適切性に関する研究
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15K05813
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
江頭 竜 福岡工業大学, 工学部, 准教授 (60455102)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 二流体モデル / 相変化 / 非平衡蒸発 |
Outline of Annual Research Achievements |
気液二相流の分野では,気泡流に対する二流体モデル方程式が数学的に不適切であることはよく知られている.数学的に不適切であることは,微小な擾乱が瞬時に発散することを意味し,そのようなモデル方程式を用いても高精度数値シミュレーションは行えない.これは古い問題ではあるが未解決の問題である.そこで本研究の目的は,交付申請書に記載しているとおり,気泡流の高精度数値シミュレーションでも安定して計算ができるような二流体モデル方程式を確立するべく,まず,気泡流に対する二流体モデル方程式の数学的不適切性について,その支配的要因を網羅的に調べ,従来の二流体モデル方程式を改良する際の知見を得ることである.平成27年度の研究実績により,従来の二流体モデル方程式に対して,気体の流速と液体の流速が同じ場合と異なる場合における数学的適切性を調べ,付加慣性力の式のガリレイ変換不変性の影響,ボイド率の影響,圧力の影響を詳細に調べた.平成28年度は,液相の圧縮性を考慮し,ガリレイ変換に対して不変な付加慣性力の式を用い,気液界面液相側極限における界面平均圧力を導入して自ら導出した方程式系に,相変化,粘性,熱輸送を組み込むべく,まず,相変化を組み込むことを試みた.しかしながら,相変化は本来,気液非平衡の現象であり,従来の研究では気液平衡の相変化モデルしか存在しない.そこでまず,相変化を可能な限り厳密に扱うために,蒸発・凝縮を気液非平衡現象として扱う手法を確立した.その成果が2016年5月発行の日本機械学会論文集に掲載されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度当初は予定通りの内容の研究に取り掛かったが,モデル方程式に相変化を組み込む段階で,これまでの相変化のモデルは気液平衡のモデルであり,厳密な方程式系を導出するためには相変化を気液非平衡現象として扱わなければならないことがわかった.そこでまず,相変化を気液非平衡現象として扱うための手法を確立し,先にその成果を公表することができたが,交付申請書の予定からはやや遅れることとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の成果により,相変化を気液非平衡現象として扱う手法が確立されたが,そこではとりあえず気泡は静止したままであるという条件を課していた.しかしながら,気泡流では気泡が流れ,並進運動するため,まず気泡の膨張収縮運動と気液非平衡の相変化現象を同時に扱うための手法を確立する.その後,それを二流体モデル方程式に組み込めるようにモデル化する.またさらに,その数学的適切性を調べていく.
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Research Products
(3 results)