2016 Fiscal Year Research-status Report
火花放電におけるプラズマ形成から熱核へ至る着火過程のモデル化
Project/Area Number |
15K05832
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河原 伸幸 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (30314652)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 燃焼 / プラズマ / 熱機関 / 分光計測 / 燃焼CFD |
Outline of Annual Research Achievements |
熱機関における着火・点火は,ナノ秒で生成される火花放電などの非平衡プラズマによりプラズマ電子温度が上昇し,周囲への熱移動によりガス温度が上昇し,化学反応が開始する.このような火花放電におけるプラズマから周囲ガスへの熱移動現象をナノ秒・ナノメートルオーダで計測し,モデル化することを目的としている.本研究では,圧縮膨張機関を使用し,ピストン圧縮行程後半におけるガス混合気に火花放電を行い,火花放電ならびに初期火炎核形成糧の可視化を行った.CFDを実施できるように吸気バルブにシュラウドを取り付け,シリンダ内にスワール流れを形成した.シュラウドの設置角度によりスワール強度が変更できるようになった.高感度・高速度カラーカメラを用いることで,火花放電ならびに初期火炎核の形成過程を可視化することが可能になった.火花放電全体から初期火炎核が形成されていることが分かった.また,3次元エンジンCFDによりシリンダ内流動を数値解析により求めた.火花放電はラグランジェ粒子の集合体として定義し(火花パーセル法),ラグランジェ粒子から流体メッシュ側にエネルギーを与えることで着火現象を表現した.化学反応動力学データベースを用いて素反応計算を行うことで,初期火炎核形成過程をCFDにより求めることが可能になった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
高感度・高速度カラーカメラを用いることで火花放電ならびに初期火炎核の形成過程を可視化できるようになった.火花放電全体から初期火炎核が形成されていることが分かり,モデル化の方向性を定めることができた.また,ワークステーションを用い,3次元エンジンCFD計算コードGTTに火花パーセル法を組み込み,素反応モデルを用いることで着火過程を表現した.火花放電から初期火炎核形成に至る過程をモデル化することができた.以上の成果により,当初の計画以上に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に得られた結果を基にして,圧縮膨張機関を用いて,点火プラグにおいて形成される火花放電に与えるシリンダ内流動の影響を詳細に評価する.流動,乱れによる火花放電の移動,形状変化,初期火炎核形成過程を高感度・高速度カラーカメラにより可視化する.さらに,希薄燃料条件下において流動状況,雰囲気圧力が初期火炎核形成過程に与える影響を評価する.この際,プラズマ分光計測を実施し,火花放電プラズマから混合気へのエネルギー遷移を評価する.また,エンジンCFDツールにより,個々のプラズマ点におけるプラズマ形成過程から化学反応,着火に至る過程,プラズマ温度から周囲のガス温度への熱移動現象をモデル化し,高温・高圧環境下で評価を行う.着火位置,着火時期によりその後の火炎伝ぱ形状,圧力上昇履歴へ与える影響を評価し,火炎の可視化結果や圧力計測結果との比較を行うことで,構築したモデルの評価を行う.
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