2015 Fiscal Year Research-status Report
新規流路構造を持つ燃料極支持型ハニカム固体酸化物形燃料電池の三次元電流分布の解明
Project/Area Number |
15K05834
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中島 裕典 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70432862)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 燃料極支持形ハニカム固体酸化物形燃料電池 / 3次元電流分布 / 3次元燃料分圧分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
3x3の流路を有する燃料極支持形ハニカム固体酸化物形燃料電池を管状電気炉において,800-900℃に加熱し,マスフローコントローラーにより種々の燃料極,空気極ガス供給条件を設定して,電子負荷器により所定の電流を取り出した.ハニカム多孔質燃料極支持体は,熱ゲル成形法によるハニカム多孔質燃料極支持体の一体成形実績のあるメーカーに依頼して製作し,電解質、空気極をその支持体上に当研究室において塗布,焼成し作製した.また,多孔質ハニカム燃料電池を保持するための治具,ガスシールおよび集電系の製作を行った.燃料極流路と空気極流路の割合を変えてハニカムSOFCを作製したところ,空気極流路本数の増加により,体積出力密度の増加が見られた.燃料極流路本数が多すぎると,燃料が上流部分で消費され,下流部分での燃料欠乏につながるためと考察した.また,多孔質燃料極支持体厚みの異なる燃料電池を作製し,電流電圧特性を比較したところ,多孔質支持体厚みが小さい場合に,従来型の電解質支持型のハニカムSOFCに比べ有望な堆積出力密度が得られた.一方で,多孔質支持体厚みが大きい場合に,発電性能が低下する傾向が得られた.これは燃料極流路上流側で,多孔質内に3次元的に燃料拡散が促進され,上流部分での電流が増えるものの,下流部分では燃料欠乏により,電流が減少するためと考えられる.有限要素法の適用による水素分圧および電流分布解析からも,以上の傾向が得られた.流路配置および多孔質支持体厚みによる,3次元的燃料拡散挙動がハニカムSOFC内の3次元燃料分圧および電流分布を決定することが示され,重要な設計因子が明確になった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
流路配置および多孔質支持体厚みの違いによる,発電特性の違いが実測でき,これに有限要素モデルを適用して,3次元的燃料分圧および電流分布の違いを見積もることができた.ガス漏れ防止のためのガスシール作製に困難が伴ったものの,これを解決し計測にこぎつけた.今後,表面温度計測による3次元的電流分布の確認により,有限要素モデルの精度をさらに向上する必要がある.
|
Strategy for Future Research Activity |
燃料極支持体厚さおよび流路配置を変え,多点温度計測手法によって,三次元温度分布を直接計測することで三次元電流分布を求め,有限要素モデルの精度を向上させる.また,電気化学インピーダンス分光法により燃料拡散抵抗を得て,有限要素モデルと比較する.以上の燃料濃度分布や燃料拡散抵抗と合致する有限要素モデルを用いて,これらを大幅に緩和,低減するような新規流路配置を有するハニカムSOFCの設計指針を得る.この指針により,単セル当たりの流路本数(密度)を増やしたハニカムSOFCおよび,いくつかの燃料流路出口を閉塞することで,多孔質燃料極支持体内に強制対流を印加して,燃料のセル内三次元輸送を促進できるハニカムSOFCを設計,製作して,低燃料供給量においても大幅な体積出力密度向上と電流分布,温度分布緩和を図り,三次元電流・温度分布評価を評価する.
|
Causes of Carryover |
セルの電極作製技術やガスシール技術が向上して,セルの破損や劣化が抑えられ,計測の成功率が上がったため,ハニカム支持体の製作費,電解質,電極スラリーの材料費等の消耗品価格の合計が計画を下回ったため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に計画している,ハニカム支持体の製作費,電解質,電極スラリーの材料費や,セルの固定冶具,熱電対,石英管,ガス配管の消耗品と合わせて使用し,ハニカム流路の配置や組み合わせ等を変えながら,より幅広い発電条件で計測を進める.
|
Research Products
(4 results)