2015 Fiscal Year Research-status Report
磁気力による伝熱性能向上効果の定量的評価および熱交換デバイスへの応用
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15K05838
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
金田 昌之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50346855)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 磁化力対流 / 常磁性流体 / 伝熱促進 / 管路損失 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉛直平行平板間内の自然対流熱伝達に及ぼす磁化力効果を評価するために実験装置を設計・製作し,相応する解析系による数値解析を実施することでメカニズムの理解と熱伝達促進・抑制効果に関する定性的な評価を行うことができた.しかしながら実験装置の設計段階で温度計測点の制限があったため,H27年度の期間内では限られた条件でしか実験を実施できなかった.数値解析においてはほぼ目的は達成され,磁石位置や磁束密度の影響を評価することができたものの,平行な電線から生じる磁場を考慮するにとどまった.ただし,ブロック型の磁石から生成する磁場分布に関しての調査は既に終えており,実験と併用したより定量的な評価に向けての準備を整えることができた. 一方で加熱円管内流れにおける磁化力効果について数値解析を実施することで,層流域における現象を議論し,上述の熱伝達への影響を評価するうえで重要な知見を得た.磁化率の温度依存性によって磁化力が局所的に作用する際に,これが突起物のような役割を果たすことが判明し,磁石よりも上流側の局所熱伝達率が減少する一方で,再付着点に相当する場所の局所熱伝達率が上昇することがわかった.さらに管路損失におよぼす効果も検討し,損失を低減することのできる条件を明らかにすることができた.これらを応用することで,系全体の熱伝達率を向上させ,管路損失低減のためのヒントを得た. この成果を国際会議で発表するとともに,熱流体力学関連の学会誌に投稿し,現在査読中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験装置の設計・製作に関して業者と打ち合わせをしていく中で,作成不可能な個所を指摘されたり高額な提案をされ,なかなか発注に漕ぎ着けなかった.結果としては上記を回避するための設計をこちらでやり直してから発注をした. 一方で微小かつ磁石の強い反発力の作用する実験装置であったため実験装置の故障が生じたり,試験装置内で緑青が発生したことから測定データが限られてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
この先の研究を進めるにあたり,昨年度のデータを増やすことが肝要であり,さらに数値解析における定量的評価を完了させる必要がある.したがって,まずは研究進度を上げる予定である.実験装置に関しては改良および修理を施しながら進める予定である.
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Causes of Carryover |
実験において可視化を想定したため蛍光粒子や可視化ソフトなどの実験消耗品を計上していたが,実験装置の設計仕様変更に伴い可視化が難しくなったため,伝熱促進の定量的計測をめざし温度計測に重点をおいた.その結果次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度に作成した実験装置の改良に利用する.特に作動流体に用いているガドリニウムは高価であり,一度入れ替えるだけでも60万円程度が必要となる. また今後設計する強制対流実験装置に必要とされる物品(低流量ポンプ,大型恒温槽)に利用する予定である.
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