2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K05845
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小澤 守 関西大学, 社会安全学部, 教授 (60112009)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リフラッディング / 膜沸騰 / 核沸騰 / 逆環状流 / 集中定数系モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は冷却喪失事故などに際して非常用炉心冷却系によるリフラッディング過程に関する基礎的研究であり,従来,詳細なコンピュータシミュレーションモデルが行われてきたが,それらは危機的状況において全体的な状況把握には適さないことから,非常に簡単ではあるが,物理的に正しく,且つ見通しのよいモデルを構築することを目的としている.本2年目においては,冷却水を供給しない状況で,肉厚の異なる4種類のステンレス鋼管を600℃もしくは800℃に過熱し,冷却水を急激に導入した際の供試管の壁温度挙動,並びに供試管での差圧変動挙動の測定を行った.温度変動挙動から近似的ではあるが沸騰曲線を求めた.高温状態の膜沸騰から遷移沸騰,そして核沸騰にいたる全過程が明確に同定でき,そこで得られた代表的な熱伝達特性は,従来から公表されている大規模な実験とよく整合し,本実験の妥当性を確認することができた.膜沸騰,核沸騰時の代表的な熱伝達率を用い,既に提案している集中定数系モデルに当てはめ,実験結果をうまく表現することができた.さらに28年度までのモデルでは膜沸騰から核沸騰への遷移をクエンチ点で接合するという関数としての不連続があったが,新たにシグモイド関数などを導入することによってその問題を解消した.実験としては並列に配置した2本の管を用いて,単一管と同様の急冷実験を開始した.並列管部で,不安定流動の代表でもある密度波振動がクエンチ点付近から発生し,それに応じて2本の管で逆位相の温度変動を観測した.成果については別記の国際会議において発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに当初予測していたおおよその現象を再現できた.特に並列管を用いた実験において過渡的に脈動が発生し,それによって逆位相の壁温変動が観測されたことは,当初の予測どおりで,今後はこの実験範囲を拡大していくと共に,すでに作成した集中定数系温度変動解析モデルを用いて,この脈動解析を行えばよい.これらの点で,おおむね研究は順調で,特に問題とする事項は見当たらない.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である29年度においては下記の項目を中心として研究を行う. 1.密度波振動と壁温変動の相関に関する実験ならびに集中定数系解析 2.実験装置に重力注水管を設置し,重力注水下での単一管,並列管の急冷実験と集中定数系モデルの構築 現状では研究計画に大きな変更はない.
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