2016 Fiscal Year Research-status Report
再生医療用細胞の超急速冷凍保存技術を志向した超流動ヘリウムによる高度冷却法の研究
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15K05850
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
野澤 正和 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60447183)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 凍結保存 / 液体窒素 / 温度計測 / 表面性状 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の次年度は、超流動冷却ステージを製作し,液体ヘリウム中の加熱体の温度分布の計測を実施する予定であった。しかし、初年度から実施していた、液体窒素における実験において、計測系の構築はできたものの、冷却対象の模擬生体組織(寒天)冷却容器の表面性状の検討において、いくつか課題点が発生したため、次年度は、これらの課題点の解決を実施した。以下に今年度実施した研究内容をまとめる。 ・模擬生体組織冷却容器の表面性状の検討。冷却容器の表面性状の最適な状態の把握を行った。表面をステンレスメッシュで覆うことで、表面性状を変更した。メッシュは、30メッシュ、60メッシュ、200メッシュの3条件を用意した。実験結果より、メッシュで容器表面を覆うことで、覆わない場合よりも、液体窒素浸漬直後の、激しい膜沸騰が発生している区間での温度上昇を抑えることが確認できた。一方で、メッシュによる明確な違いは確認できず、最適なメッシュ数を明らかにする課題が残った。 ・実験結果の妥当性の確認のため、誤差関数を用いた非定常熱伝導の計算を行い、実験値との比較を行った。今回、生体模擬組織である寒天が、冷却により、寒天内の水分が凍るため、水および氷での物性値を考慮して計算を実施した。計算結果と実験結果は概ね、同じ傾向となった。しかし、激しい膜沸騰が発生している区間において、実験値の温度が計算値よりも高い温度となった。この原因として、膜沸騰による熱伝達の低下や、容器の熱抵抗等が考えられた。 ・表面性状の変更による熱伝達特性の把握のため、多孔体である発泡ニクロムを用いて、液体窒素中での沸騰熱伝達の計測を実施した。一般的なニクロムワイヤの沸騰曲線との比較を行うことで、多孔体における沸騰熱伝達の特性を把握することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次年度は、液体窒素における伝熱実験結果を踏まえて、超流動冷却ステージを製作する予定であったが、液体窒素中における実験において、いくつかの検討事項が発生したため、次年度はこれらの事項について明らかにすることになった。それに伴い、一部の研究費を最終年度に繰り越すことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
・これまで使用していた、極低温用温度センサは、模擬生体組織(寒天)の凍結により、応力が加わり、破損してしまう可能性があることが分かった。代替の温度センサとして、銅-コンスタンタン熱電対でも、液体窒素中での実験においては、計測できることが分かった。銅-コンスタンタン熱電対は、極低温用温度センサよりも安価で、多数準備することができるので、計測点を増やすことで、より詳細な温度分布を明らかにすることが期待できる。 ・次年度は、予定通りに学会等に参加することができ、情報交換をすることができた。最終年度も、積極的に学会等に参加して情報交換をすることで、研究にフィードバックする予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度に製作予定だった超流動冷却ステージについて、液体窒素を用いた実験結果を踏まえて製作する予定であったが、液体窒素中での実験において、検討すべき事項がいくつか出たため、まずは、その検討事項を明らかにする必要があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の最終年度(平成29年度)において、超流動冷却ステージを製作するために使用する予定である。
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Research Products
(3 results)