2015 Fiscal Year Research-status Report
個別適合ハプティックシェアードコントロールによる知能化運転支援システムの基盤構築
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15K05854
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
ポンサトーン ラクシンチャラーン 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30397012)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 運転支援 / 予防安全 / 自動運転 / 車両制御 / ドライバモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度では、個別適合ハプティックシェアードコントロールによる知能化運転支援システムの構築に向けて、代表者のポンサトーンと、協力者の大学院生2名の協力で遂行し、以下のことを行った。 (1)先読み運転シナリオの解析では、公道走行実験において熟練運転者の運転行動データベースを構築することを目指す。具体的には、道路・車両・操作・視線行動を計測可能な高機能ドライブレコーダ(運転行動記録装置)を構築し、自動車教習所の教官に運転してもらい、大学周辺の走行データを収集した。記録した走行データから、駐車車両の陰からの歩行者飛び出しのような先読み運転支援が必要なシーンを選別し、そのシーンにおける規範ドライバをモデル化し、特性パラメータの同定を行った。平成27年度では交差点付近での加減速にかかわる運転行動を主にモデリングを行った。 (2)運転者の異常運転検知手法の開発では、規範運転行動に対して運転者個人の安全運転パフォーマンスの低下(いわゆる「異常運転状態」)を検知するアルゴリズムを開発した。ドライビングシミュレータを使って交差点あるいは駐車車両の陰からの歩行者飛び出しのような危険な走行シーンを再現できるようにプログラムを構築した。潜在リスク予測モデルによって不安全行動の度合いを定量的に評価できるモデルを考案した。 (3)操作反力制御系の設計 走行状況に応じた安全な速度及び経路に追従するためのペダル・操舵反力制御系を構築した。ドライビングシミュレータにおいて操作反力発生機構と制御系を設計した。操作反力の提示が運転行動に与える影響を調査した。また、基本特性として、制御工学の観点から反力制御パラメータと車両運動への影響を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に対し、最終目標である運転支援システムの構築のための要素技術、ハードウェアの準備ができ、リアルワールドの先読み運転シナリオの走行データの計測ができ、解析に十分な走行データが得られた。また、次のステップのための運転者の異常運転検知手法の構想案ができた。これらの理由から、総合的におおむね計画書の通りに研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度では、引き続き個別適合ハプティックシェアードコントロールによる運転支援の設計を行い、以下の研究を行う。 (1)先読み運転シナリオの解析:熟練ドライバの運転知能モデル構築では、引き続き、熟練ドライバモデルの先読み運転を構築する。平成28年度では操舵行動にかかわるシーンについて経路計画アルゴリズムを検討する。規範運転行動と走行環境データから、運転シーンを一般化し、前後・左右の2次元リスクポテンシャル場の定式化とパラメータ同定を行う。 (2)運転者の異常運転検知手法の開発 :リアルタイムパラメータ同定手法では、平成27年度に引き続き、車両運動と操作行動データから、運転者の安全運転パフォーマンス低下を実時間で検知できるアルゴリズムを開発し、その有効性を検証する。 (3)個別適合型操作支援アルゴリズムの開発 個人の通常運転特性に適合した運転支援の基盤構築を行う。具体的には内蔵した個人のドライバモデルによって数秒先の運転行動を予測しながら、熟練ドライバの規範運転特性と運転者の行動特性との差に基づき、適切な支援の強さを決定し、人間・自動車複合系としてあたかも熟練ドライバのように走行しているように触覚的協調制御(Haptic Shared Control)を行う。実験では、連続的な運転場面と緊急回避場面のシーンで実施する。ここで重要な点は、ドライバがオーバーライドできるように操作反力を適応的に可変させる制御系設計である。 走行実験は、ドライビングシミュレータおよび試験路での実験車両で基盤技術の開発を行い、個別適合運転支援システムの設計要件とその方策をまとめる予定である。
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Research Products
(2 results)