2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K05859
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
木村 弘之 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (50579315)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 機械力学・制御 / 昇降機 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)エレベータ・ロープ、ばねおよびかごから構成された振動系やエレベータ・ロープ+動吸振器から構成された振動系(パラメトリック励振系)のモデル実験および数値解析を行った結果、かご上下振動の固有振動数をロープ横振動についての固有振動数の2倍にするとロープの揺れは、上下動の影響がない場合の1/2程度に低減することを確認した。 (2)変位拘束部材の設置位置が中央の場合、ロープ全長の1/Nの場合、それぞれについて、ロープ引張り位置がロープ中央の場合、ロープ全長の1/Nの場合の自由振動についての理論解を得た。理論解をもとにした数値解析結果は、差分法による数値解析結果と良く一致することを確認した。さらに、これらの理論解を求める際に、ロープ中の波の伝播特性をもとに変位拘束部材に作用する荷重波形をシステマティックに求める手法を開発した。 (3)ロープ中央付近に変位拘束部材1個を配置し、これにロープを衝突させるモデル実験を行った。ロープ変位や変位拘束部材に作用する荷重波形について、数値解析結果と実験結果とを比較検討した結果、ロープの曲げ剛性の影響を受けていることが判明した。なお、差分法によるロープ揺れ解析にこの曲げ剛性の影響を考慮できるように数値解析プログムを改造した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)エレベータ・ロープ、ばねおよびかごから構成された振動系およびエレベータ・ロープ+動吸振器からなる振動系の固有振動数についての最適値は得られたものの、その理論的な裏付けまでは得られなかった。また、減衰についての最適値についても明らかにできなかったため、この部分では計画よりやや遅れている。 (2)変位拘束部材を有するロープ(弦)の自由振動についての理論解を複数の条件で得られた。また、さらに実際のエレベータの条件に近い多くの条件で理論解を得られる見通しを得た。この部分では計画より進んでいる。 (3)変位拘束部材にロープを衝突させるモデル実験を行いロープ変位や変位拘束部材に作用する荷重波形を分析した結果、ロープの曲げ剛性の影響を受けていることが判明した。差分法によるロープ揺れ解析にこの曲げ剛性の影響を考慮できるように数値解析プログムを改造したため、計画よりやや進んでいる。 したがって、計画より遅れているところがあるが、計画以上に進んでいるところもあり、全体としては概ね順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)エレベータ・ロープ、ばねおよびかごから構成された振動系およびエレベータ・ロープ+動吸振器からなる振動系の固有振動数についての最適値について理論的に検討する。また、減衰についての最適値についても検討する。 (2)変位拘束部材を有するロープ(弦)の自由振動について、さらに実際のエレベータの条件に近い多くの条件で理論解を求めていく。さらに、この解析手法を強制振動に応用できないか検討する。その結果をもとに強制振動についての理論解、近似解を求め、数値解析を行う。
|
Causes of Carryover |
モデル実験で使用するアンプやセンサーの購入個数を当年使用する最小限の個数にしたため。この分は次年度購入する予定。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
試験モデルの改造費用、アンプ、センサーなどの消耗品を中心に、学会発表や論文投稿費用にも充当する。
|