2015 Fiscal Year Research-status Report
ロボット制御のための最適制御多点境界値問題の実時間解法に関する研究
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15K05861
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
早川 義一 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60126894)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 最適制御 / 多点境界問題 / ロボット制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は非線形システムの最適制御多点境界値問題の解法を開発し、得られる最適解が時々刻々変化する外部環境に適合するように、予測制御の手法と融合させた最適解の実時間解法をも開発することである。具体的な課題として、課題(a)線形システムに対する最適制御多点境界値問題の実時間解法、課題(b)最適制御多点境界値問題と予測制御の融合、課題(c)非線形ロボットに対する最適制御多点境界値問題の実時間解法と予測制御との融合、課題(d)実ロボット制御への適用と評価、を設定している。平成27年度は主に課題(a),(b)を実施した。 課題(a)では、始時刻と終時刻の状態変数拘束を持つ有限時間区間の2次形式評価関数最適制御問題の最適解が、直接解法として、関数空間の線形写像および随伴写像を用いて、容易に得られることを利用し、2階の線形常微分方程式で表現された制御対象に対する最適制御多点境界値問題の最適解の直接解法を導出し、最適解の存在性・唯一性と制御対象のシステム論的性質、評価関数、状態変数の拘束条件などとの関係を理論的に考察した。また、直接解法と反復解法の長所と短所も検討した。 課題(b)では、始時刻、終時刻や中間時刻が時々刻々変化する最適制御多点境界値問題を解決すべく、課題(a)の解と予測制御の融合を検討した。その際、予測制御の利点をさらに活かす目的で、状態変数と制御入力に関する線形不等式制約のある最適制御多点境界値問題へ拡張も検討し、卓球ロボットを題材として、数値シミュレーションによって、その有効性を確認した。 なお、次年度の実ロボット制御への実用化に対する準備として、7軸アームロボット(PA10)の手首部分に6軸力センサーを導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にほぼ沿った実施と成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
課題(c),(d)を実施していく予定である。 課題(c)では、非線形ロボットに対して、平成27年度に実施した課題(a),(b)で得られた理論的成果、最適解の実時間解法、予測制御との融合を発展させる。具体的には、最適制御多点境界値問題の実時間解法としては反復法を用いることになるが、ロボットの動特性(たとえば、ハミルトン系、受動性)を巧みに利用することで、高効率な反復解法を提案したいと考えている。また、他の方法として、予測制御との融合を前提として、現時刻での時空間に関する線形化を積極的に用い、課題(a),(b)で得られた知見を活かした実時間解法も考える。なお、解の存在性・唯一性と非線形ロボットのシステム論的特性や最適評価関数との関係も理論的に考察する予定である。 課題(d)では、課題(c)で得られた成果を多指ハンド付き双腕アームロボットや卓球ロボットに適用し、研究成果の評価を行う。特に、卓球ロボットでは、各種ボール(高速と低速、バックスピンとトップスピンなど)を打ち返す際、相手コートの狙った位置に打ち返すためのラケット制御を実施する予定である。 なお、研究場所の主体が名古屋大学から愛知工業大学に移動したため、数値シミュレーション環境強化のためのデスクトップコンピュータを準備する。また、ロボットに関する実験装置は名古屋大学で行う予定である。
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Research Products
(5 results)