2015 Fiscal Year Research-status Report
快適空間創成のための作用外力および伝達内力の高精度同定に関する研究
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15K05863
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
河村 庄造 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00204777)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 外力同定 / 内力同定 / 逆問題 / 正則化 / 伝達経路解析 / 反共振点 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,振動・騒音の源である「力の同定」を行うものである.具体的には作用外力の同定と伝達内力の同定を考える. 平成27年度は理論構築と,比較単純な数値例による検証を行った.加振試験によって修正された評価対象の機械・構造物の数学モデル(有限要素モデル)に対して伝達関数を作成する際,重りを付加した場合の伝達関数を効率よく求める必要があるので,付加重りを微小変動と見なした感度解析によって伝達関数を構築する手法を確立した.次に,外力の振動数と固有振動数の関係から,大きく励起されていると予想される振動モードを表現しやすいような付加重りの配置を提案した.数値例として両端固定はりを取り上げ,構築した方法によって作用外力の同定を行ったところ,応答の再現精度を調べることによって,精度の良い同定結果が得られる条件を推定することができること,分布外力よりも集中外力の方が同定が難しいことがわかった. また対象物の数学モデルを精度良く構築する必要があり,実際に機械・構造物を組み立てる際に重要になる減衰要素,例えばゴム材料の減衰特性を精度良く同定する手法を確立した.更に動的荷重が継続的に作用した場合は,結合部に微小な隙間が発生する可能性があり,そのような場合の振動特性を正確に把握する手法も確立した. 次に内力同定に関しては,伝達経路解析において,経路を見落とした場合,あるいは想定外の経路を有する場合に,同定された内力が受ける影響の解析,及び正しく経路が設定されていないことを検証するための方法を提案し,数値例によって妥当性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に基づいて,おおむね順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
外力同定に関しては,数値シミュレーションの結果を踏まえ,単純な構造物で実験を行う.理論の検証のための数値例は両端固定はりであったが,実験では両端を弾性支持されたはりとする.そのため,はりの両端をばね鋼を利用して弾性支持し,電磁石あるいはスピーカーを利用して非接触加振を実現する.なお初めは導電型加振器による接触加振で行う.必要なセンサーは準備ができており,それに応じた解析装置のチャンネル数の増強を平成27年度に行ったので,実験装置が完成次第,実験を進める.なお実験によって新たに判明した課題に対して順次解決策を検討し,理論あるいは同定手続きに反映させる. 内力同定に関しては,複数の平板の何カ所かを弾性支持して結合した構造物を構築し,基礎加振あるいは一番上の平板を慣性力で加振し,必要な箇所の加速度測定の結果から結合部の内力を同定する.この際,伝達経路の見落としを想定して,受動系の伝達関数のサイズの変更等を行い,平成27年度の数値シミュレーションで見いだした,経路見落としの検証方法が採用できるかどうかを確認する.
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Causes of Carryover |
解析装置のチャンネル数を増強することは計画通りであったが,それに伴い,ソフトウエアの更新が,本研究の遂行に必要であることがわかった.それには費用が発生し,平成27年度の予算に対しては若干の残金が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初平成27年度に購入予定であった,三軸加速度計の購入を,平成27年度の残金と,平成28年度の予算で購入予定である.実験は平成28年度から本格的に進めるので,研究の遂行に支障はない.
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Research Products
(4 results)