2015 Fiscal Year Research-status Report
高分子固体の実使用条件下における粘弾性を正確に測定する装置の開発
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15K05881
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小金沢 新治 関西大学, システム理工学部, 准教授 (60634681)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 粘弾性体 / 高周波粘弾性 / せん断型測定法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、研究の基礎となるせん断型粘弾性測定装置を設計し、試作・評価を行った。両面テープNW-10Sを粘弾性体として用いて測定装置の評価を行った結果、固有振動数24.2kHz(目標 >5kHz)、320mAで発生力1.2N、振幅10.5μm(目標はそれぞれ >1N, >10μm)と、いずれも目標を超える特性が得られた。また、測定サンプルの大きさは20mm×20mmであり、設計による装置の耐荷重は10N以上であることから、与加圧力0.025MPaが可能である。従って、全ての仕様を満たす設計ができた。 計画外の成果として、測定した周波数応答関数と可動部質量を用いて高周波数領域の粘弾性特性をさらに高精度に求める手法を提案した。また、その手法によって得られる値に含まれる誤差要因とその影響度合いについて定量的に見積もった。提案手法では固有振動数まで、10%以下の誤差で粘弾性特性を見積もれる見込みであることを明らかにした。 本研究実績の一部は、昨年12月に日本機械学会の協賛によりタイで開催された国際会議で発表した。論文は現時点で査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画のとおり、せん断型高周波粘弾性測定器の設計・試作・評価を行った。測定装置の評価を行った結果、固有振動数24.2kHz、320mAで発生力1.2N、振幅10.5μmと、いずれも目標を超える特性が得られた。 また、さらに高周波数領域まで粘弾性を見積もる手法として、周波数応答関数と測定器の可動部質量から計算によって求める方法を提案するとともに、その誤差要因について定量的に見積もった。
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Strategy for Future Research Activity |
粘弾性体のせん断変形に由来する25kHzの固有振動数よりも低い周波数で、僅かながら支持系の固有振動のピークが見られ、これが特性の推定に悪影響を及ぼしていた。そこで、まずこの支持系の固有振動モードの影響を改善すべく、再設計と試作・評価を行う。有限要素法による解析では、期待する結果が得られる見込みである。 その後、当初の計画に従って、引張・圧縮型試験機の検討並びに、高温高湿環境下における測定チャンバーの設計を行う。
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Causes of Carryover |
測定器の駆動源として用いるコイルの試作に関して、予算を超過するメーカしか見つからなかったため、今回の試作は自作に切り替えた。このため未使用予算が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は信頼性の高い部品を調達するために、加工精度の必要な部品についてはコイルを含め試作メーカに手配する予定。 6月には、ヨーロッパ精密工学会(EUSPEN)において成果の発表を行う。
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