2015 Fiscal Year Research-status Report
線虫の走性を利用した局所操作・解析用デバイスの創製
Project/Area Number |
15K05895
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中島 正博 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80377837)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 走性 / マイクロチップ / マイクロ流路 / 線虫 / 神経系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,モデル生物である線虫の神経系ネットワークを解明するために,線虫が有する神経系に依存した様々な行動(走性)を解析するマイクロチップ型デバイスを構築する.線虫は,置かれた環境に応じて,化学走性,電気走性,温度走性,光走性,機械走性,磁場走性など様々な走性を有していることが知られている.これまで線虫の走性は主に,培地上での線虫の行動を顕微鏡観察することで解析されてきた.この場合,線虫は培地上を自由に移動するため,個々の線虫の解析が困難となり,また解析に時間を要することなどの課題があった. そこで,本研究は,マイクロチップ型デバイスを用いて線虫の走性を利用した局所操作と走性の統合的な解析を実現することを目的とする.マイクロチャネル内に線虫を閉じ込めることで,線虫の走路を制限し,より簡便に個々の線虫の解析を行うことが可能となる.マイクロチップを用いることで,微量な溶液を操作し,より定量的に線虫周囲の環境を作り出すことが実現できる.また,特定の線虫に複数の物理刺激を同時に付与するなど,より複雑な環境を作り出すことが可能となる.本研究では,線虫の化学走性と電気走性に注目し,これらの線虫の走性を利用することで,線虫をマイクロチップ内で局所的に操作することも実現できる.以上により,線虫の走性を利用した局所的な操作とより複雑な環境下での線虫の走性を解析することが可能なマイクロチップ型デバイスを創製する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,主に線虫の走電性を利用して線虫を操作し,狙った位置に固定するマイクロ流路を設計,製作し,その有効性を実験的に検証することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,作製したマイクロ流体チップに誘引または忌避溶液を導入し,走化性に関する解析を実現するデバイスを実現する予定である.
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