2015 Fiscal Year Research-status Report
3次元運動により障害物利用推進を行うヘビ型ロボットの開発
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15K05898
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
亀川 哲志 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (80432623)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヘビ型ロボット / 3次元運動 / 反射行動 / 螺旋捻転運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘビ型ロボットは細長い構造であるので狭隘地や複雑な構造物に進入して探索をするロボットとしての応用が期待されている.これまでにも多種多様なヘビ型ロボットが研究開発されているが複雑な環境で適応的に移動できるヘビ型ロボットは実現されておらず,これが実用化にむけた大きな障害であると考えられる.そこで本研究では身体性認知科学の枠組みを利用する.身体性認知科学において特徴的な枠組みの1つに,センサからの入力を複雑な思考や計画なしにダイレクトにモータ出力へとつなぐ反射的な行動がある.一方,これまで研究開発されてきたヘビ型ロボットは環境とインタラクションをするためのセンサを実装しているものはほとんどなく,反射的な行動によりヘビ型ロボットを推進させる研究報告はほとんどない.我々はこれまでの研究において,2次元平面内において反側抑制と呼ぶ反射行動により障害物が密に存在する環境下において効率よく移動するヘビ型ロボットのアルゴリズムを提案し,接触センサを搭載した2次元ヘビ型ロボットによる検証を進めているところである.そこで本研究ではさらにこれを推し進め,環境とインタラクションするための接触センサを備えた3次元ヘビ型ロボットを構築し,あるリンクに接触刺激があった場合の反射的な振る舞いについて効率的な入出力パターンを見つけ出す.これにより,環境中の障害物を避けるのではなく,障害物を積極的に接触しながら推進するヘビ型ロボットを実現するための枠組みを明らかにする.研究の初期段階においては,物理シミュレータ上に構築したヘビ型ロボットのモデルを使って,反射行動の基本的な方向性を検証する.その後,実機実験により実環境での反射行動により障害物利用推進を行うヘビ型ロボットを実現する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度においての研究計画は,動力学シミュレータ上に構築したヘビ型ロボットのモデルを利用して,接触センサ情報を利用した反射的障害物利用推進アルゴリズムの検討を行うこと,また接触センサを実装した3次元ヘビ型ロボットの実機モデルの設計・試作を行うことであったが,この計画どおりに研究は進捗している. 動力学シミュレータを用いたアルゴリズムの検討に関しては,Open Dynamics Engine (ODE)に3次元運動可能なヘビ型ロボットのモデルを構築し,その側面と底面に接触センサのモデルを搭載した.このモデルに,4つの基本的な振る舞い:角度シフト制御(横うねり動作),側面からの反力を考慮した制御,底面からの反力を考慮した制御,荷重適応制御,を実装した.これにより,ヘビ型ロボットが反射的に振る舞って推進することを確認した.また,地面との摩擦が小さい場合においては提案手法がエネルギー消費の観点で有効であることを確認した.さらに,障害物が密に存在する3次元環境において,スタックの回避ならびに段差の乗り越えができることを確認した. 実機モデルの設計・試作に関しては,市販のサーボモータを組み合わせたヘビ型ロボットを構築し,スリップリングを介して制御用のPCからこれを動かすシステムを試作した.また,サーボモータで計測される関節負荷の情報により,螺旋半径を調整するアルゴリズムを実装し,その有効性を検証した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度以降において,前年度において試作した3次元ヘビ型ロボットの試作機に外殻を取り付け,そこに接触センサを搭載する予定である.また,前年度の予備実験の結果を踏まえて,ヘビ型ロボットの実験システムを改良する.具体的には,システムのROS化を検討している.これにより,Gazeboシミュレータとの連携を図る.また,前年度に物理シミュレータODE上で検討した反射的障害物利用推進アルゴリズムを実機モデルに実装する.実験環境としては,下水や上水に使われているパイプの内部,発電プラントなどに使われている工業用配管の内部および外部,さらに,災害により倒壊した建造物を模した複雑な構造の内部環境などを想定している.なるべく実環境に近いフィールドにおいて動作試験を行い,その有効性を検証する.
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Causes of Carryover |
当初計画どおりにロボットの試作を行ったが,試作段階においては,研究室内にある他の部品をある程度利用することができたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において,既存のヘビ型ロボットの改良ならびにセンサを取り付ける部品の新規の設計製作に予算を使用する.
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