2016 Fiscal Year Research-status Report
空気式多自由度ロボットを用いた手首リハビリ患者シミュレータの開発
Project/Area Number |
15K05899
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高岩 昌弘 徳島大学, 大学院理工学研究部, 教授 (60243490)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 手首リハビリテーション / 患者シミュレータ / 多自由度マニピュレータ / 空気圧アクチュエータ / 粘弾性特性 / 機械インピーダンス制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では手首リハビリテーションにおける理学療法士の訓練のために,空気圧アクチュエータにより駆動される多自由度ロボットを用いた患者シミュレータの構築を目的としている。 平成28年度はマニピュレータに実装する患者手首の機械特性として,これまで印加トルクと関節角度間の静的な関係である剛性特性のみに着目していたが,より現実的な手首特性を実装するために粘弾性特性まで考慮したモデルを提案した。具体的には非線形な3次特性として剛性特性を近似し,線形な粘性項と組み合わせる形で実装した。また,新たに粘性特性も付与したことに伴い,これまで提案していたパラメータ調整用の前腕部インターフェースも改良した。これまではスポンジの密度変化を利用したソフトセンサーを用いた入力装置を利用していたが,本年度は弾性と粘性のパラメータを独立して入力できるように小型ジョイスティックによるインターフェースを新たに構築した。実験により,これらのインターフェースを用いて粘弾性特性を任意に設定できることを定量的に確認している。 一方,構築した手首モデルに対して実施した徒手動作を定量的に評価することで,新人療法士の技能向上に向けた訓練環境の構築という目的に対しては手首角度と角速度,すなわち位相面とトルクの関係を3次元的にグラフを用いて表示することで熟練療法士の運動やトルクのかけ具合というノウハウを定量的に表示することができ,技能伝承のための環境が提案できつつあると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は多自由度マニピュレータを患者の手首モデルとして振舞わせるために,患者手首の機械特性を如何に実装するかという課題と,実現した手首モデルに対して施した徒手動作を定量的に提示し,技能向上に向けた教育環境の場を呈示するという課題に大別される。平成27,28年度は主に前者の課題に対する研究を実施し,実際の手首リハビリテーション時の理学療法士と患者との相対的な位置関係を参考に,粘弾性特性を任意に調整できる前腕部インターフェースを構築し,その効果を定量的に確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
実装した患者の手首モデルに対して,新人療法士の技能向上に向けた訓練環境の開発を行う。具体的には熟練療法士の徒手動作を,新人療法士の徒手動作時に定量的に表示するために拡張現実(AR)の技術を用いた手法を提案する。手首のリハビリでは手根骨同士の摩擦を避けるために前腕部方向に引張力を作用させながら手首関節を駆動する必要があるが,このときの引張力の目標値をAR技術を用いて例えばベクトルでリアルタイムに表示するなどの方法を試みる。これらの機能を通して技能伝承および技能向上に向けた療法士の訓練環境の構築を目指す。
|
Causes of Carryover |
3月に納品となり,支払いが完了していないため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月に支払いが完了する予定である。
|
Research Products
(2 results)