2015 Fiscal Year Research-status Report
逆運動学の不良設定問題に基づく小型ジャイロセンサを用いた介護姿勢の計測と評価
Project/Area Number |
15K05916
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
横川 隆一 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (70220548)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腰痛防止 / 姿勢計測 / 介護支援 / ロボティクス / 逆運動学 / 不良設定問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.車椅子移乗に対して介護士の動作計測を行った。(a)小型ワイアレスジャイロセンサIMU-Z2((株)ZMP製)(第12胸椎棘突起、第2仙椎、および左右いずれかの大転子に配置)、(b) 3次元リアルタイムモーション計測システム VENUS3D(赤外線カメラ10台、(株)ノビテック製、全身に添付されたマーカの位置を計測)、(c)計測用パソコンに取り付けられたUSBカメラおよび(d)デジタルビデオカメラによる計測を同時に行った。作業者は、京都府“人にやさしい介護支援機器開発プロジェクト運営協議会”の協働事業所である社会福祉法人宇治明星園の介護士2名であった。さらに、計測システムの調整のために、数名の学生を被験者として、計測を行った。 2.計測の結果を基に時系列に作業状態を分類し、作業状態の推移図を作成した。各作業状態における身体各部の幾何学的な拘束条件から腰の屈曲角度を定義した。ベットから車椅子への移乗では、(1)要介助者が上を向いて寝た姿勢からベッドの端に腰をかけ足を下ろした姿勢への動作、(2)要介護者の抱え上げ動作、(3)立った姿勢でのベットから車椅子への方向転換の動作、(4)立った姿勢から着座姿勢への動作、および(5)着座姿勢を整える動作の5つの動作に分類した。また、車椅子からベットへの動作も同様に分類した。 3.USBカメラで撮影された作業時の映像を見ながら上記5つの動作の開始時点をパソコン上から入力すると5つの動作それぞれにおける腰の屈曲角度の上限を算出し、各作業中の危険姿勢を提示する解析システムを開発した。その解析システムは、介護施設等での扱いやすさを考慮して、Microsoft社のExcelのVBAによって開発され、Excelで結果の図・表の表示を可能とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本システム開発のための介護動作の計測を社会福祉法人宇治明星園の協力によって実施した。その計測結果および大学研究室の学生を被験者とする計測結果に基づいて2つの小型ワイアレスジャイロセンサから腰の屈曲角度を推定するシステムの開発を進めた。介護動作時のUSBカメラによって撮影された映像とセンサによる計測データとをリンクさせることにより、介護現場で容易に作業姿勢を評価できる基本システムを作成できた。計測システムの開発はおおむね計画通りに進んでいる。27年度の研究成果を現在、研究論文にまとめており、学会論文誌への投稿を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は、当初計画通りに進められている。小型ワイアレスジャイロセンサを27年度使用していたものから、現在開発中のパソコンシステムでさらに簡便に、利用できるセンサへの変更を行う予定である。京都府“人にやさしい介護支援機器開発プロジェクト運営協議会”の協働事業所での介護士の動作計測回数を増やす方向で検討している。
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