2016 Fiscal Year Research-status Report
異構造光トラップ場を用いた非接触3次元マイクロ操作の高機能化と汎用化の研究
Project/Area Number |
15K05921
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 芳夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (30357454)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光ピンセット / 知能機械 / マイクロ・ナノデバイス / マイクロマニピュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,光学的干渉の発生しない2組の光トラップ場の3次元時空間構造を精密に実時間制御できる双腕3D光ピンセットを試作し,高度自動化技術と統合・融合化することで,光学顕微鏡下の多様な物質を高精度に3次元マイクロ操作するための基盤技術を開発することを目的としている.本年度に得られた主な成果は以下のとおりである. 1.試作システムの基本性能評価と改良:昨年度双腕光ピンセットの1本のビーム系にマイクロレンズアレイを組み入れることで,高価な空間光変調器を用いることなく100個以上のトラップ点を生成できる多点光ピンセット光学系を試作開発した.この光学系を2枚のレンズを交換するだけでSおよびP偏光を用いて分割した2本のビームの何れの3D光ピンセット系へも容易に導入,調整できるようレンズ配置を改善した.この結果,マウスを用いた光トラップ点への微粒子の挿入,取り出し性能等が向上した. 2.マイクロレンズアレイを用いた広域トラップ場の制御:昨年度提案したマイクロレンズアレイの基本格子から生成される光トラップ点を時分割同期走査することで基本格子の整数倍の格子状光トラップ点を生成する動的微粒子アレイ作成法を,エッシャーの絵画のように任意の図形の周期パターンとして微粒子を配置することも可能な方法として一般化した.生成した多様な形状の光トラップ場へ,大きさ,色,蛍光特性の異なる100個以上の微粒子を精密に配置し,その後全て同時に縮小,回転などの幾何学操作できる事を示し,本手法の有効性を実証した.この結果は,多数の微粒子や細胞を一度に光ピンセット操作できる安価かつ構築の容易な光学系を提供するものであり,試料の一括操作や非接触精密3D操作などが不可欠となるライフサイエンス分野などにおける汎用ツールとしての光ピンセット技術の有用性をより高めるものと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度試作した双腕系を更にレンズ配置を改善し,目的に応じて多様な光ピンセット実験を行えるシステムを容易に構築することができ,本装置を用いた実験で,国内外で2件の研究発表を行うことができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ当初の計画どおり順調に研究は進捗しているので,得られた知見については,より積極的に国内外で学会発表を行うと共に,国際誌への論文投稿を行う.
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Causes of Carryover |
オープンアクセスでの出版を予定して投稿した論文が掲載不可となり,現在投稿中の論文誌は掲載が未定であるため8万程度の残額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し分については,次年度の学会での成果発表旅費,論文掲載費として,組み入れて使用する予定である.
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Research Products
(2 results)