2016 Fiscal Year Research-status Report
イオン液体と活性炭の界面に形成される電気二重層容量に及ぼすメソ多孔性の影響
Project/Area Number |
15K05925
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
熊谷 誠治 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (00363739)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電気二重層キャパシタ / 活性炭 / メソ孔 / 電解液 / イオン液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
高い導電率が期待できるイミダゾリウム系のイオン液体を電解液に用いた電気二重層キャパシタセル(EDLC)を組み立て,室温において,サイクリックボルタンメトリによる比静電容量評価と電気化学インピーダンス分析による静電容量の発生源,さらに,電解液抵抗や細孔内部の電荷移動などの内部抵抗の発生源の特定解析を行った。その際,Kangらが提案するEDLC等価回路モデルを採用して,回路シミュレーションを行った。 カチオンを共通にして,1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・テトラフルオロボレート(EMIM・BF4),1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・ビストリフルオロメタンスルホニルイミド(EMIM・TFSI),1-エチル-3-メチルイミダゾリウム・ビスフルオロスルホニルイミド(EMIM・FSI)をEDLC用電解液に用いた。EMIM・FSIは,室温では低い粘度と高い導電率を示した。 メソ孔比率の高い活性炭において,EMIM・BF4とEMIM・FSIを使用したEDLCは同程度の比静電容量を示した。一方,メソ孔比率が低く,マイクロ孔が発達した活性炭において,EMIM・BF4を使用したEDLCは高い比静電容量を示した。BF4-アニオンはイオン径が小さいことから,細孔幅が小さいマイクロ孔主体の活性炭では,イオン液体の導電率よりイオン径が重要であることが分かった。逆にメソ孔比率が高ければ,一定程度の低い粘度と高い導電率を有することで,比静電容量は大きく変化しないことが分かった。 インピーダンス分析の結果,メソ孔比率の高い活性炭では,拡散層形成に要するバルク電解液の抵抗が大きいが,メソ孔比率の低い活性炭はその抵抗が小さいことが分かった。さらに,静電容量の起源は,メソ孔比率の高低にかかわらず,電気泳動的効果より,物理吸着効果が大きい電気二重層の形成にあることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初実施計画の通り,異なる種類のイオン液体における活性炭の容量および抵抗特性に対するメソ多孔性の影響に検討できた。特に,メソ多孔性の異なる活性炭において,粘度および導電率の異なるイオン液体を用いた場合の静電容量の発生源,さらに,電解液抵抗や細孔内部の電荷移動などの内部抵抗の発生源などに関する新知見を得ることができた。それゆえ,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
イオン液体の種類と周囲温度を変化させ,細孔構造の異なる活性炭の容量および抵抗特性を評価する。それにより,イオン液体の性状,活性炭のメソ多孔性,さらに容量および抵抗特性という3者の相関を明らかにする。特に,低温環境下(0~-30℃程度)におけるメソ多孔性の容量および抵抗特性に与える影響について明らかにする。
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Research Products
(7 results)