2016 Fiscal Year Research-status Report
パールチェーン型トリーの進展過程と液体絶縁体の高電界現象との関連に関する研究
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15K05942
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井堀 春生 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (70249861)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電気トリー / ゲル / 電界測定 / カー効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
架橋度を変化させたシリコーンゴム中に交流電圧を印加することによって発生したパールチェーン型トリーについて、その進展や形状および周波数依存性について考察をおこなった。針電極の先端に生じるバブルは振動しており、その振動数は印加電圧の周波数の倍振動となっていることがわかった。バブル径は印加電圧の周波数が大きくなると減少し、周波数が小さくなると増加した。トリーの進展変化の速さを見ると、モード1とモード2にわけられ、モード2に移行すると進展速度が速くなることがわかった。そしてこの時のトリーの形状を比較すると、モード1の時は枝分かれしていない直線的なトリーであるのに対し、モード2では細かく枝分かれが発生していることが明らかとなった。さらに、等方的進展が終わった後のパールチェーン型トリーの枝は、主幹部と側幹部から成ることがわかった。 一方、ゲル状物質中の電界測定に関しては、炭酸プロピレンにPMMAを溶解したゲルを用いて、実験を行った。PMMAの量に相関のある補正係数を導入することで、カー効果を用いた電界測定が可能であることを示し、さらに、実際に、ゲル状試料中の電界分布の時系列測定を試みたところ、液体単体とゲル中での測定結果に差異がみられた。この結果が、ゲル特有のものであるかどうかを今後検討していく必要がある。 さらに交流電界の測定に対応できるように測定系の改良を行い、その有効性を示した。
以上の結果をもとに、8件の学会発表と3件の学術論文投稿をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の当初の実施計画は以下の通りである。 1.引き続き、パールチェーン型トリーの進展メカニズムの解明に注力する。2.現在、光学測定システムでは直流印加電源に同期して測定をおこなっている。電気トリーの発生中の電界測定を可能にするために、これを交流電源にも対応できるように改良する。交流電源は当面の間、商用周波数を昇圧して使用することを考えている。構築されたシステムを用いて、交流印加場における液体中の電界測定をミリ秒間隔でおこない、システムの有効性を示す。 さらに、昨年度終了時点で、 3.平等電界下におけるゲル中と液体中での電界の時間変化測定 を計画として掲げた。それぞれに関して、上記で述べたような成果を得ることができており、ほぼ計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
パールチェーン型電気トリーに関しては、引き続き現象の解明に注力するが、これまでの推論に確証を与えたるなど、より詳細に検討していくためには高速度カメラと印加電圧と漏れ電流の同期測定が不可欠であると考えている。今年度はこの方策を速やかに検討しなければならない。 ゲル中の電界測定に関しては、ある範囲でのゲル中の電界測定が可能であることを示すことができたので、実際に電界分布の時系列測定をおこない液体単体との結果と比較することによって、本課題の目的の1つでもある液体とゲルの電気的特性の関連性や相違性について検討する。
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Causes of Carryover |
・投稿論文2件の掲載料として留保していたが掲載が翌年度となったため。 ・カメラ画像と印加電圧波形の同期システムを構築するのに必要な物品(H28にいくつかは購入済)で、デモの結果、さらに必要なものが明らかとなり、その見積もりを待っていたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
・論文掲載料として使用する。 ・必要な物品の購入に充てる。
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Research Products
(11 results)