2015 Fiscal Year Research-status Report
再生可能エネルギー有効活用のための広域情報に基づく電力システム信頼度監視制御
Project/Area Number |
15K05943
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 政幸 九州工業大学, 工学研究院, 准教授 (90398115)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 電力系統工学 / 電力系統監視 / 同期化力 |
Outline of Annual Research Achievements |
電力システムにおいて,従来の回転機を用いた電源とは異なる特性をもつ電源が増加すると,特に同期状態を保ちもとの状態に戻ろうとする能力が低下し,安定性の維持が困難となる。とくに再生可能エネルギーを利用した発電はシステムの不確定性をさらに増大させ供給信頼性の低下につながる。本研究では,電力システムにおける広域観測情報を利用することで,不確定状況下においても特性の異なる電源が安定性に与える影響度を定量的に評価する方法を探究し,電力システムの信頼性を評価するための方法としての有用性を明らかにする。今年度は,観測情報を用いた電力システム信頼度指標の推定方法を検討した。 特性の異なる電源が電力システムに連系されると,支配的な電力動揺モードの特性が変化することに着目し,広域同期計測情報を用いて動揺特性指標を求める方法を検討した。動揺特性はそれぞれの動揺モードに対する固有ベクトルを解析的に求めることで説明がなされるが,実システムにおいては求めることが難しく,計測情報から推定する方法を検討した。系統シミュレーションを用いて,電源構成の変化などを模擬した条件を設定して解析を行った。各計測地点における位相の揺れを可視化することで,発電機構成や系統構成の変化に伴う特性変化が捉えられることがわかった。 また,動揺特性を支配する系統の慣性の変化を,取得可能な情報から捉えることを試みた。西日本における位相差情報,太陽光発電の導入量,日射量といった情報から,太陽光発電の発電量が慣性の変化に与える影響を試算した。とくに低需要期の昼間時間帯においては相対的に同期発電機による発電が低下することから,システム全体の慣性が低下することになるが,支配的動揺モードの動揺周期について過去のデータとの比較を行った結果,その傾向が現れていることを捉えることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
監視情報に基づく電力システム状態の指標導出について,初年度における基礎的検討を進め,動揺特性を抽出して特性の変化を捉える方法を示すとともに,一部実測データを用いて実システムにおける変化を定量的に評価した。研究目的に対する初年度の計画についてはおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
計測情報から動揺特性の変化を捉える方法について基礎的な知見が得られたことから,より具体的な定量評価を行う。多様な電源で構成されることを想定した電力システムモデルを用いた解析を行い影響度の評価を行う。また,系統制御への展開を考え,動揺特性の変化を補償して信頼度を向上させる制御方法について考える。観測情報を用いた適応型の制御により効果的な方法について検討を進める。
|
Causes of Carryover |
購入を予定していた備品について当初よりも安価に購入できたことから次年度繰越が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では50万円以上の高額備品の購入は計画しておらず,主として研究調査や学会における成果発表のための国内外旅費での使用を計画している。また,遂行上必要な少額消耗品購入での使用を計画している。
|