2016 Fiscal Year Research-status Report
接地経由雷に対する加圧導電水浸潤建築材利用の雷サージコンディショニングの技術化
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15K05953
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岡野 大祐 東海大学, 熊本教養教育センター, 教授 (00169129)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 雷直撃電流 / コンクリート / 放電抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)直撃雷の模擬電流源を高圧充電したキャパシタ電荷を高電圧ダイオードで遮断するクローバー方式を用いて製作した。出力性能として、キャパシタ充電電圧20kVに対して電流波高値110AでIEC規約波形(10/350 マイクロ秒)が得られており、これは雷保護試験規格のCLASSⅡに相当する。キャパシタの静電容量を10倍程度増加することにより雷保護試験規格のCLASSⅠ相当も可能になり、雷保護素子(SPD)単体の特性試験あるいはSPD特性を補完するデバイス(当該研究課題の建築物供試体)との協調特性実験が可能となる。(2)建築材供試体の亀裂領域をモデルギャップとする雷模擬放電を気圧依存性について実験調査した。その結果、2倍以上の大気圧条件において正負放電の電荷量が30%-50%の範囲で減衰すると同時に、放電波形の歪みが抑制される機構が確認された。その際の放電ギャップインピーダンスは放電時間波形の周波数変換(FFT)から複素インピーダンスとして求められ、周波数依存性およびPCシミュレーション結果から、等価的なR-L直列回路形成により放電抑制効果が生じており、それらの受動素子は波頭長以降の波尾長の時間帯において急激に減衰することを示した。放電実験結果を踏まえると、建築材供試体の放電抑制機能の最適化によりサージ電流の調整が可能になることを示唆するが、そのためには雷撃面における導電率向上と供試体バルク内亀裂部の通過電流抑制という相反条件を併せ持つ供試体製作が重要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度の研究実施計画において、建築材供試体亀裂部を放電ギャップとして用いた場合、①放電抑制機能評価、②放電回路特性、③供試体製作の最適条件探索を提示した。①については2倍以上の大気圧条件において、正負の放電電荷量が30%-50%の範囲で抑制されることを実験的に示した。②については放電時間波形の周波数解析から複素インピーダンスを求め、周波数依存によるベクトル軌跡からR-L直列回路特性であることを示した。③については放電抑制効果を高めるために供試体亀裂部の放電誘導と放電閾値増加を実験的に検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
①建築材供試体の雷模擬放電実験を通じて再現性等の評価を行い、放電抑制素子(SCD)としての供試体条件をまとめる。 ②SPDの耐雷限界の補完性能検証を目的として、建築材供試体とSPDを組み合わせた雷模擬放電による協調実験を行い、SCDとしての有効性や汎用性を評価し、技術確立に必要な課題と方策をまとめる。
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Research Products
(3 results)