2016 Fiscal Year Research-status Report
デューティ比デジタル制御法によるリチウムイオンキャパシタ蓄電技術
Project/Area Number |
15K05964
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
中田 俊司 近畿大学, 工学部, 准教授 (40506218)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スーパーキャパシタ / パワーエレクトロニクス / デジタル制御 / エネルギー散逸 |
Outline of Annual Research Achievements |
スーパーキャパシタにおいて、エネルギーロスの無い充放電を行うために、インダクタとスイッチングトランジスタを用い、スイッチングトランジスタのオンオフの割合であるデューティ比をデジタル的に制御して充電を行う回路の研究を進めた。理論的にこのインダクタとトランジスタよりなる回路において8ステップの階段電圧充電時にエネルギー散逸が1/8となることを初めて明確に示した。たとえば8ステップで充電を行う場合に、最初の1ステップ目ではCV/8の電荷がキャパシタに蓄積される。デューティ比は1/8なので、電源の行った仕事は、CV×V/64となる。次の2ステップ目では新たにCV/8の電荷がキャパシタに蓄積される。デューティ比は2/8なので、電源の行った仕事は、2CV×V/64となる。これを8ステップまで行うと電源の行った仕事は、9CV×V/16となり、結局エネルギー散逸は1/8となることをJournal of Circuits, Systems, and Computersにおいて示した。 また実際に電気二重層キャパシタモジュールの充電を行い、94%の充電効率が得られることを実験的に明らかにした。具体的には90Fのキャパシタモジュールを1、2、3、4と直列接続したときに、容量が小さくなる効果により、より準静的に充電可能となり、4直列の場合に高い充電効率が得られることを示した。さらにリチウムイオンキャパシタに対しても、下限電圧を2.4V、上限電圧を3.8Vとし、この間で段階的に電圧を上げる手法により、電気二重層キャパシタと同様の電圧電流特性が得られることを明らかにした。さらにdsPICに対してスイッチング周波数を高速に保ったまま、デューティ比をたとえば3%と6%を切り替えることにより、新たに4.5%相当のデューティ比を生成する手法を考案し、これを用いる事により出力電圧分解能の増大を実験により実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インダクタとトランジスタよりなる回路においては、定電圧による充電とは異なる電流の流れとなる。提案回路におけるエネルギー散逸の低減を初めて理論的に導出することができ、今後の実験展開につながる結果を得た。また90Fのキャパシタモジュール4直列の場合に94%の高い充電効率が得られることを示した。また、リチウムイオンキャパシタに対しても、電気二重層キャパシタと同様の充放電回路で、特性がほぼ同一となる基礎実験を行った。また、dsPICにたいしては、デューティ比切り替え手法を新たに考案し、出力電圧の分解能が増大可能であることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は充電のみならず、放電のエネルギー効率について実験的に明らかにし、充電と放電を通して効率の高い回路構成の研究を進める。またリチウムイオンキャパシタの充放電効率について実験により明らかにする。 また、より大きな20A程度の電流を流すことのできる回路構成を検討する。コイルも現在使用している定格6Aのコイルから、定格20Aのものに置き換える。またトランジスタも現在の2SK2231からさらに大電力用に置き換えることを検討する。またキャパシタと回路をつなぐケーブルも直径を太くする。回路の抵抗成分を極力ゼロに近づけて実装を行った系において、充放電の基本動作の確認を行う。
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