2016 Fiscal Year Research-status Report
静電気放電における火花チャネル電圧・電流・抵抗のGHz帯域測定
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15K05968
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Research Institution | Kushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
高 義礼 釧路工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (80335091)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 火花電圧 / 火花電流 / 火花長 / 火花抵抗則 / マイクロギャップ |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は,まず装置の測定精度をあげることが第一の課題であった.これに対し,電極の固定方法等を再考し,最少でおよそ20ミクロンの火花長まで10ミクロンの精度で測定できるように改善できた.これを受けて,充電電圧を300Vから7000Vまでふって火花長および火花電流波形の測定をおこなったところ,火花電流波形から求められる火花電圧波形と火花抵抗則に火花電流波形を適用することから計算できる火花電圧波形を比較した結果から低電圧においてはToeplerの火花抵抗則が,高電圧ではRompe-Weizelの火花抵抗則がそれぞれよく合うことがわかった.しかしながら,実測した火花長に対して放電電流波形を用いて火花抵抗則から推定した火花長はいずれの場合も小さめであることが明らかとなり,その原因究明が課題となった.以上の成果のうち,充電電圧500Vから2000Vまでの結果について平成28年度釧路工業高等専門学校専攻科学生特別研究発表会(平成29年2月24日,釧路プリンスホテル)で外部発表(一般公開されている研究発表会において指導学生が発表)をおこなった.また,装置構成と測定精度評価について平成28年度釧路高専紀要に投稿・掲載された.さらに,充電電圧500Vと4000Vの場合について電気学会A部門論文誌に研究開発レター(2ページ)として投稿している(現在査読中).今後は前述の課題等を解決し,国際シンポジウムでの発表,電気学会論文誌への投稿を予定している.一方,火花チャネルにおけるインダクタンス成分の影響について並行して実験的研究を進めており,これまで火花チャネル径の測定方法の考案,インダクタンスの試算をおこなうことができている.今後成果の検証および公表が課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度当初は装置の測定精度をあげることが第一の課題であった.これに対し,電極の固定方法や装置各部位の固定方法,電極の移動方法等を再考した結果,最少でおよそ20ミクロンの火花長まで10ミクロンの精度で測定できるように改善できた.これを受けて,充電電圧を300Vから7000Vまでふって火花長および火花電流波形の測定をおこなったところ,火花電流波形から求められる火花電圧波形と火花抵抗則に火花電流波形を適用することから計算できる火花電圧波形を比較した結果から低電圧においてはToeplerの火花抵抗則が,高電圧ではRompe-Weizelの火花抵抗則がそれぞれよく合うことがわかった.しかしながら,実測した火花長に対して火花抵抗則から推定した火花長はいずれの場合も小さめであることが明らかとなり,その原因究明が課題として残っている.以上のことから,当初装置の構成において手間取ったが,装置を完成させ実験データを取得することができるようになり,さらに,指導学生による研究発表,釧路高専紀要への掲載,電気学会論文誌への投稿ができていることから,おおむね順調に推移していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果発表は,装置の構成法や取得したデータの一部を使ってのものであった.まだ発表していないデータについては,今後国際シンポジウム,論文(フルペーパー)に纏めて発表する予定である.さらに一方,火花チャネルにおけるインダクタンス成分の影響について並行して実験的研究を進めており,これまで火花チャネル径の測定方法の考案,インダクタンスの試算をおこなっている.火花チャネルのインダクタンスの影響について明らかになれば,今後FDTD等の電磁界シミュレーションへの応用が期待でき,重要な結果となる.H29年度はこちらの研究に注力し,学会発表,論文化を目指す予定である.
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも若干安価に高圧電源を購入できたため,残額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費と論文掲載料に使用する予定である.
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