2015 Fiscal Year Research-status Report
超長時定数を有するループ電流が大型超伝導コイルの安定性に与える影響の解明
Project/Area Number |
15K05974
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
尾花 哲浩 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (60435518)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超伝導コイル / 磁場測定 / 時定数 / 遮蔽電流 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケーブル・イン・コンジット(CIC)導体を用いて製作した大型超伝導コイルでは、通電時において、CIC導体の特性からは全く予想できない、超長時定数(数十秒から数千秒の減衰時定数)を有するループ電流を発生することがある。『超長時定数を有するループ電流』は、導体に流れる輸送電流に重畳することにより、大型超伝導コイルの性能を著しく低下させる要因となり得る。また、最悪の場合、大型超伝導コイルを焼損させる要因となることも考えられる。そこで、本研究では、数値解析によって、『超時定数を有するループ電流』が大型超伝導コイルの安定性に、どうような影響を与えるのかを定量的に解明する。 平成27年度は、①大型超伝導コイルの磁場測定から得られた時定数の解析と②2本撚線モデルに対応可能な分布定数回路の解析コード開発を行った。 『①時定数解析』では、CIC導体からなるJT-60SA CSモデルコイルを用いて、コイル励磁後(通電電流値20 kA;励磁速度50 A/s)における磁場変化から時定数を求めた。その結果、最大10分程度の時定数が発生していることがわかった。 『②解析コード開発』では、『超長時定数を有するループ電流』を再現するため、超伝導素線1本1本に流れる電流値を求めなければならない。そこで、解析コードの開発では、CIC導体の撚線部を分布定数回路でモデル化する。その際、対象となるCIC導体を、導体長手方向に等間隔で分割し、更に、導体径方向は、素線毎に分割する。その結果、本解析コードのよって、各素線(2本撚線)に流れる電流の経路、及び電流値を求めることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・CIC導体を用いた大型超伝導コイルの磁場測定により、超時定数を有する磁場変化を計測することができた。 ・分布定数回路からなる、撚線の電流分布を再現する解析コードを開発することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
撚線の電流分布を再現する解析コードに、伝熱計算用サブルーチンを追加して、撚線の安定性計算ができるように解析コードを改良する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた消耗品を購入する必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に必要になる消耗品購入に充てる予定である。
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