2015 Fiscal Year Research-status Report
高効率太陽電池開発のための新規カルコパイライト構造半導体の創製
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15K05977
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
尾崎 俊二 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (80302454)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 結晶成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究計画に従い、CuxAg1-xInS2(CAIS)半導体結晶(x=1, 0.5, 0)を垂直ブリッジマン法により育成した。まず、Cu, Ag, In, Sを化学量論的に秤量し、カーボンコートを施した石英管内に真空封入することで石英アンプルを作製した。作製したアンプルを2ゾーン横型電気炉に設置して、高温部が1100 °C、低温部が800 °Cとなるように段階的にゆっくりと昇温し、その後48時間保持して前合成となる硫黄化を行った。これは、蒸気圧の高い硫黄(S)によるアンプルの破裂を防ぐためである。硫黄化した試料は、粉末状に粉砕し、石英管内に再度真空封入することで新たにアンプルを作製した。次に、x=1となるCIS結晶およびx=0となるAIS結晶では、アンプルを縦型電気炉に設置し、室温から最高温度の1100 °Cまでゆっくりと電気炉の温度を上昇させた後、試料を十分に融解させるために最高温度において48時間以上保持した。その後、約1 cm/dayの速度でアンプルをゆっくりと降下させ、電気炉の温度勾配を利用して融液を徐冷し、結晶を育成した。一方、CAIS結晶(x=0.5)については、使用する元素が四種類となるため、インゴットの組成比にむらが生じないように、融液の均一化に特に注意した。まず硫黄化した試料を封入したアンプルを20°傾斜させた管状電気炉内に設置、ゆっくりと加熱し、最高温度の1100 °Cにおいて一定時間アンプルを回転させた。このとき、アンプルの回転速度は20 rpmとし、1時間毎に逆回転させた。その後、温度勾配を有する縦型電気炉にアンプルを再び設置し、約1 cm/dayの速度でアンプルを炉内降下させることにより結晶を育成した。このような三段階にわたって結晶成長を行うことにより、組成が均一なインゴットの作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において、平成27年度ではCAIS半導体バルク結晶の育成を主に行うこととしていたが、その目的はおおむね達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては、育成した結晶を使用して光学測定を主に行う。具体的には、光吸収測定を行うことで、光吸収端(バンドギャップエネルギー)、光吸収係数を調べる。また、変調分光測定を行うことにより、可視~紫外領域における電子バンド構造を調べる。
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Causes of Carryover |
平成27年度では研究費を予定通り執行した結果端数が生じたが、その端数については平成28年度予算と合わせて使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度においては光学測定を主に行うが、その際に必要となる結晶表面処理用の薬品の購入を行う。
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