2015 Fiscal Year Research-status Report
顕微光応答法による金属/ワイドギャップ半導体界面の不均一な劣化機構の2次元評価
Project/Area Number |
15K05981
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
塩島 謙次 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70432151)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 明弘 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10251985)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 界面顕微光応答法 / ショットキー電極 / GaN / SiC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では我々が独自に開発した2次元評価法(界面顕微光応答法)が、ワイドバンドギャップ半導体上に形成した電極の劣化機構の解明に適応できることを実証することが目的である。本研究ではGaN、及びSiCショットキー電極に高電圧印加、又は熱処理を行い、デバイスの実動作環境における劣化過程を評価する。さらに、未結合手をもたないグラフェン層を電極界面に保護膜として介在させた構造の信頼性に対する有効性も明らかにする。 本年度は高電圧印加装置の立ち上げ、SiC、GaNショットキー接触を作製し、電極の熱劣化、高電圧劣化を評価することに注力した。電極の熱劣化に関しては、Ni/n-SiC,Ni/n-GaN電極を400-600℃で熱処理を行い、界面反応の初期的な状態を2次元像として可視化することができた。この結果は電流-電圧特性の変化と対応しており、実デバイスに埋もれた金属/半導体界面を非破壊で評価出来るという、他の手法では実現出来ない有効性を示すものとなった。 高電圧印加の実験はNi/n-GaN電極に対して行い、部分的な劣化を確認した。H27年秋の応用物理学会で研究成果を報告した。従来は他大学に高電圧印加を依頼していたが、装置の購入により、効率的に実験を進められた成果が早急な学会発表に結びついた。 グラフェン膜の形成においては、研究分担者である橋本教授がn形SiC基板を真空中で通電することにより、良好なグラフェン膜を形成できる条件を確立した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3kVのソースユニットを購入し、10 fA台の低ノイズレベルで高電圧を印加できる測定系を構築した。SiC,及びGaNショットキー電極を作製し、熱劣化、高電圧印加による劣化を界面顕微光応答法により2次元評価した。 本研究の装置、アイデアが評価され、英国の業界誌に注目すべき研究として取り上げられた(“Probing buried interfaces in Schottky contacts”, Compound semiconductor, Vol 21, Issue 3, Research review, pp. 69-69 (2015) )。 また、当初は予期していなかった、n-GaNにNイオン注入、又はドライエッチングをした表面損傷や、酸化物半導体上に形成した電極、及びSi/SiCの半導体/半導体ヘテロ界面を高感度で評価できることも発見した。これらの成果はSSDM国際学会、JJAP論文誌に採択された。 グラフェンの形成に於いても理論計算を含めて基礎検討が進捗した。 このように本課題はH27年度中に21件の全国大会での発表(招待講演3件を含む)、4件の国際学会、2件の学術論文の業績を挙げており、当初の計画以上に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
H28年度はGaNパワーデバイスの実用化において重要な課題である高電圧印加による電極の劣化をNi/n-GaNを中心として進め、国際学会(IWN2016)に投稿する予定である。また、当初予期していなかった研究成果である、GaN表面のドライエッチングによる損傷の評価、n-SiCにNイオンを注入した損傷の評価、酸化物半導体上に形成した電極の通電劣化の評価に関しても国際学会(ISCSI-VII、CSW)で報告する予定である(採択済み)。 グラフェン膜の評価は、n-SiC基板上に形成したグラフェンにNi薄膜を蒸着し、グラフェン介在電極構造の2次元評価を進める。
|
Causes of Carryover |
春期応用物理学会講演会で発表する予定であった学生が就職に伴う引っ越しのため、講演が出来なくなり、出張費を次年度使用とした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の学会発表費用として計上する。
|
Remarks |
業界誌掲載“Probing buried interfaces in Schottky contacts”, Compound semiconductor, 21, Issue 3,Research review, pp. 69-69 (2015) http://www.compoundsemiconductor.net/pdf/magazines/2015/cs_may_2015.pdf.
|
Research Products
(29 results)