2015 Fiscal Year Research-status Report
垂直配向メソポーラス薄膜の細孔壁を介したスピン依存トンネル伝導
Project/Area Number |
15K05982
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
栄岩 哲二 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (60175528)
|
Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
|
Keywords | バイアス電圧依存性 / 規則化の向上 / 薄膜形成速度制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)基板(陰極)に平行な平板電極(陽極)を溶液外に配置し,基板に負のバイアス電圧を印加することで,バイアス電場による陽イオン界面活性剤の垂直配向組織化が可能かを検討した。0~350Vの範囲でバイアス電圧を印加したところ,バイアス電圧100V付近で基板表面で反射した直線偏光のレーザー光の偏光面が回転する現象が見られ,同条件で作成したメソポーラス薄膜の垂直配向度が向上しすることが分かった。 (2)イオン電流を制限するために,イオン電流のパルス駆動を試み,パルス駆動による成膜速度の制御が可能であることが分かったが,高伝導度の銅薄膜を電極とする基板では,メソポーラス薄膜の形成が基板端に集中して起こり,十分な速度制御には至っていない。基板をガラス基板に真空蒸着した高伝導度の銅薄膜から低抵抗のシリコンウエハーに代え,更に従来型の直流駆動にて成膜したところ,イオン電流は低下し,薄膜形成が基板全体に一様に進むことが分かった。これは,銅薄膜に比べてシリコンウエハーの比抵抗が高く,基板端への電場の集中を抑えて電流密度の一様化が実現されたものと考えられる。更に,基板をシリコンウエハーに代えたことで基板・電極の耐熱性が向上し,500℃での熱処理が可能となり,細孔内部に残留していた界面活性剤の除去が可能となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
垂直配向度の向上に対しては,計画通りバイアス電場が効果的であることが分かった。成膜速度の制御に関しては,回路構成の改良の効果は見られたが,一様な成膜には至っていないが,基板の電気伝導度を変える方法に研究方法を修正したところ,当初計画していた成膜速度の制御とメソポーラス薄膜の一様な成膜を実現できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
細孔内部への磁性金属の充填をパルスめっき法を用いて行う。めっき条件の最適化が必要であるが,めっきを行うことで,細孔内部の界面活性剤の除去状況や,薄膜の欠陥の有無が明らかとなる。界面活性剤の除去が不十分な場合には熱処理条件の最適化を検討する。薄膜に大きな欠陥部分があり,めっきがその欠陥部分に集中する場合には,欠陥の生成が熱処理に依るものか,成膜条件に依るものか明らかにし,それぞれに対して対処法を検討する。 細孔内部への磁性金属の充填と並行して,充填後の基板の高抵抗化の検討を進める。シリコンウエハーを基板としたので処理方法は当初の計画の修正が必要となった。まず,熱処理による高抵抗化の可能性の検討から始めるが,当初予定していたカーボンの電極膜への利用についても検討する。
|
Causes of Carryover |
当初計画していた装置改良と学会発表を次年度に延期したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
装置の改良や学会発表,更に基板材料の最適化により,H28年度請求額と合わせ次年度使用額を有効に使う計画である。
|