2016 Fiscal Year Research-status Report
リチウム三元化合物を用いたリチウムイオン挿入脱離型メモリスタの実現
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15K05984
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
串田 一雅 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80372639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗山 一男 法政大学, 理工学部, 教授 (20125082)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メモリスタ材料 / リチウム化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は平成27年度から同29年度までの3か年にわたって行われる。報告者は本研究において、リチウムイオン2次電池の技術を応用し、金属的な価電子構造を有するLi7MnN4を主たる構成材料としてメモリスタを試作することを目指している。すなわち、リチウムイオンの挿入・脱離にともなう可逆的な電子構造変化(価電子帯が金属的電子配置~半導体的電子配置に変化)を利用し、Li7MnN4の電気抵抗が制御可能であることを実証することを目指している。 具体的には、【1】Li7MnN4およびLi7-δMnN4(Li7MnN4より漸次リチウムを脱離させた構造)に対するlapw+lo法等を用いた電子状態計算、【2】メモリスタ構造の作成、【3】【2】のメモリスタにおけるリチウム挿入・脱離前後の電気抵抗変化の確認を目指している。研究期間の2年目にあたる平成28年度においては、上記3事項について研究を進めるとともに、特に、主たる材料であるLi7MnN4より漸次リチウムを脱離させたLi7-δMnN4構造の電子状態と電子輸送特性のシミュレーションに注力した。以下に、その概要を報告する。 Li7-δMnN4構造の電子状態と電子輸送特性はメモリスタ構造の性能を決定づけるパラメーターであることから、これらの特性に関するシミュレーションを行わずにメモリスタ構造の試作に移行することは、特に研究コストの面で非効率的である。そのため、本年度、28コアCPUワークステーションを購入し、初年度からの懸案であったLi7-δMnN4の2×2×2格子に対する電子状態計算および電子輸送特性シミュレーションを行った。これにより当該物質に10%以下のリチウム原子空孔を導入した計算モデルに対して上記シミュレーションを行うことが可能となり、「リチウム原子空孔の量と電子状態の相関」を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Li7-δMnN4構造における電子状態および電子輸送特性はメモリスタ構造の性能を決定づける重要なパラメーターであるため、これら両特性に関するシミュレーションをまずは重視し、平成28年度研究計画として当初予定していた上記研究概要【1】~【3】に加え、Li7-δMnN4の2×2×2格子を計算対象モデルとした電子輸送特性のシミュレーションを行うことが可能となった。これにより、「Li7MnN4内のリチウム原子空孔の量と電子状態の相関」をも明らかにすることが可能となった。そのため、申請者は、研究計画はおおむね順調に進展していると判断した。なお、本研究課題を遂行する過程で使用・修得した手法・解釈法を転用し、KNbO3の永続光電流の起源についても明らかにすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の最終年度にあたる平成29年度では、当初の予定通り、平成28年度までに得られた成果の論文化を行う。具体的には、すでに論文発表段階に達している「Li7MnN4およびLi7-δMnN4(Li7MnN4より漸次リチウムを脱離させた構造)のリチウム原子空孔の量と電子状態の相関」にまずは着手し、順次、その電子輸送特性の論文化を行う予定である。また、上記概要【2】および【3】についても論文発表に堪えるデータを蓄積させていく予定である。また、本研究課題を遂行する過程で使用・修得した手法・解釈法を本研究課題以外の研究にも用いる予定である。
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Research Products
(1 results)