2015 Fiscal Year Research-status Report
ナノファイバーを用いたプラズモニック発光デバイスの創製
Project/Area Number |
15K05988
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
尾崎 良太郎 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (90535361)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門脇 一則 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (60291506)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ナノファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノファイバーはナノ材料のひとつであり、繊維径が数十~数百ナノメートルの極細繊維である。従来のマイクロファイバーに比べて高比表面積、高空隙率、微細孔径などの特徴がある。更に、ファイバーの配向制御が可能であり、配向性の高いものやランダム配向のものを容易に得ることができる。本研究の目的は、プラズモン発光増強へのナノファイバーの配向性やサイズ効果が及ぼす影響の解明およびその応用開発である。 ナノファイバーによるプラズモン光増強のメカニズムを解明するために、金属薄膜上の発光層の光学特性を実験と数値計算の両面から調べた。ナノファイバーはポリアクリルニトリル(PAN)を用いてエレクトロスピニング法(電界紡糸法)で作製した。発光強度のPANナノファイバーの密度依存を調べた結果、ナノファイバーの密度に応じて、金属薄膜上に形成したクマリン色素をドープした高分子薄膜の発光強度が高くなる結果を得た。 一方、ナノファイバーがない状態での金属薄膜による光増強を調べるために、金属薄膜の上にLB法によってIr錯体単分子膜を形成して発光特性を調べた。金属とIr錯体発光層の間のスペーサーの厚さを調整することで、最大で8倍の発光増強を確認できた。興味深いことに、発光増強に偏光依存は確認できなかった。プラズモンはP偏光しか結合しないので、プラズモン以外の効果の可能性が挙がってきた。FDTDシミュレーションによる光学計算をしたところ、プラズモンを計算に考慮しなくても、金属薄膜が存在することで、4倍までは発光増強可能なことが明らかとなった。プラズモンをシミュレートするための数値計算も開発中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、プラズモンの効果による発光増強と考えて実験を進めていたが、現在の実験結果を精査すると、プラズモン以外の効果による増強の影響が、高い割合を占めることが示唆された。実験の条件出しや、度重なる確認実験に時間を費やしたため、想定したより進展が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究は進展がやや遅れているが、推進方策自体に大きな変更はないが、今後は、光学シミュレーションの割合を高めて、研究の効率を上げていく。得られた成果は、適時学会で発表するとともに、年度内に学術論文として報告することを目指す。
|
Research Products
(4 results)