2016 Fiscal Year Research-status Report
超高密度磁気記録媒体用の組成変調構造を有するCoPt-酸化物グラニュラ媒体の作製
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15K06001
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Research Institution | Ichinoseki National College of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 晋五 一関工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80225870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 伸 東北大学, 工学研究科, 教授 (50344700)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 磁性材料 / 薄膜材料 / グラニュラ構造 / 薄膜作製プロセス / スパッタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
実用化されているハードディスク(HD)用垂直磁気記録媒体の記録層は,c面配向CoPt基合金コラム状磁性結晶粒の粒界に酸化物を析出させたグラニュラ組織からなる.現在の垂直磁気記録媒体の記録密度は約800 Gbit/in2であるが,次世代媒体の記録密度は2~4 Tbit/in2が求められている.媒体の記録層の磁性結晶粒のさらなる微細化は,熱安定性が低下し保存した磁気記録が熱揺らぎによって消えてしまう物理的な問題がある.この熱揺らぎの問題を解決するために,記録層に用いる磁性材料は一軸結晶磁気異方性エネルギー(Ku)が高い材料が求められている.4 Tbit/in2の実現のためには,現行より一桁高いKu(2×107 erg/cm3以上)が必要とされる.本研究の目的は,次世代HD用垂直磁気記録媒体の超高記録密度化のために新たな媒体材料を開発することである.我々は,実用材料であるCoPt基合金の高Ku化を図り,その磁性材料を粒径6 nm以下に微細化したグラニュラ材料を開発することを目指している.また,高Kuグラニュラ材料は,新たな超高密度磁気記録技術として提案されている熱アシスト磁気記録,マイクロ波アシスト磁気記録を実現する媒体材料としても求められている. 平成28年度は,六方晶CoPt合金薄膜のグラニュラ化に向けて,課題検討を行い,次のことがわかった.(1) CoPt基合金-酸化物グラニュラ膜の合金結晶粒の柱状成長性の定量評価を試み,柱状成長における組成および作製条件依存性を明らかにした.(2) CoPt合金-酸化物グラニュラ薄膜において各種酸化物材料を検討した結果,低融点材料が磁気特性・積層欠陥・粒径微細化に効果があることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CoPtナノグラニュラ構造形成における2相分離,柱状成長の検討結果をまとめることができた.また,CoPt合金薄膜のグラニュラ化に向けて粒界相材料である各種酸化物の検討を行い,磁気特性・粒径微細化に有効な低融点酸化物(例えばB2O3など)を絞り込むことが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,平成27~28年度の研究項目の全ての知見を生かし,「超高密度磁気記録媒体用CoPt-酸化物グラニュラ膜の実現」に取り組む.CoPt合金薄膜においては組成変調構造の導入により高Ku化がなされるが,グラニュラ化するとKuが高くならない課題がある.課題解決には,CoPtナノグラニュラ構造形成における2相分離・柱状成長組織の不均一性およびKu低下原因の問題解決,および薄膜作製プロセスも含めた検討が必要となる.
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Research Products
(5 results)