2016 Fiscal Year Research-status Report
プログラマブル受信フィルタを適用した体内植込み型医療器EMI評価装置の研究開発
Project/Area Number |
15K06007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
日景 隆 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (30312391)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 体内植込み型医療器EMI / AIMD / 電磁干渉 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高精度な数値シミュレーション技術を適用した体内植込み型医療機器の電磁干渉影響測定装置の設計,および外部プログラムにより受信特性の変更が可能な擬似ペースメーカを内蔵した測定装置の開発,および開発した測定装置を用いた実証実験に取り組むものである.平成28年度は,初年度の検討結果を発展させ,主に以下の項目について研究を実施した. 1)数値シミュレーション技術を用いたペースメーカ植込み擬似人体による電磁干渉 影響評価装置の開発」 2)擬似ペースメーカ(電磁干渉影響評価のための干渉信号測定装置)の検討 3)RF帯干渉特性の検討と開発技術の実証 上記,項目1)について,検討する電磁干渉影響評価技術は,kHz帯からRF帯までの電波照射により植込み型医療器の受信フィルタ通過後に内部回路で検波され生じる低周波雑音を評価することで,医療器の動作不具合の発生を高精度に推定することを目指した評価技術開発である.植込み型医療器のEMI特性を精度よく推定するため,初年度に開発した有限要素法に基づく数値解析を基とする評価ツールを用いてペースメーカ内部回路に生じる干渉誘起電圧について,周波数の異なる電波利用機器によるものを評価した.また,項目2)について,小型化したセンサ―挿入した疑似的なペースメーカを用い,実人体に植え込まれている状況を再現するトルソーファントム内にリードを接続した状態で設置したペースメーカの干渉誘起電圧を取得しEMIの周波数特性を明らかにした.さらに,項目3)について,数値シミュレーションおよび実験の両面から基礎検討を開始した.これら検討より,本研究の最終目標である体内植込み型医療器EMI評価装置構築に対し,最終年度実施の検討項目および課題等を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題の目的は,体内植込み型医療機器の電磁干渉影響評価試験に用いる測定装置について,高精度数値解析による電磁界評価・回路設計と擬似ペースメーカ装置の開発の両面から取組み,従来にない精度の評価装置を実現することである.平成28年度の検討では,周波数帯の異なる各種電波利用装置に関する電磁干渉影響評価,さらには,干渉誘起電圧測定のための擬似ペースメーカ試作と特性評価を実施した.これら成果について,査読付英文論文誌の公表2件を含み,国際会議および国内学会・研究会での公表を行っており,おおむね順調に進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までの成果の基づき,引き続き,項目1)「数値シミュレーション技術を用いたペースメーカ植込み擬似人体による電磁干渉影響評価装置の開発」,項目2)「擬似ペースメーカ(電磁干渉影響評価のための干渉信号測定装置)実現性の検討」および項目3)「RF帯干渉特性の検討と開発技術の実証」についての検討を実施し,研究最終年度となるため,成果の取り纏めおよび課題抽出を行う.
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Causes of Carryover |
課題申請時に予定していた実験備品購入費用について,シミュレータの利用により代替できたため差額が生じた.当該の研究費は次年度以降の計算機使用料等として使用することとし,申請時の計画より詳細なシミュレーション評価を実現する.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度,アンテナ工学・通信工学関連の学会・研究会において調査・研究資料収集を行うとともに,本研究で得られた成果・知見を国際学会で発表するための旅費および投稿料の使用を予定している.
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