2015 Fiscal Year Research-status Report
誘電性と磁性を併せ持つ小型粒子で構成される負屈折率媒質レンズとそのサブ波長分解能
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15K06019
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
久保 洋 山口大学, 理工学研究科, 教授 (50205126)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メタマテリアル / 負屈折率媒質 / マイクロ波 / レンズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では,金属円柱という単純形状の素子だけを用いた小型の単位セルで構成される負屈折率媒質を製作し,負屈折率レンズのサブ波長分解能について検証する.そのためにこの構造中を伝搬する波の性質を調べ,レンズ製作のための媒質特性を得る必要がある. 1次元の媒質の特性をシミュレーションによって調べ,単位セルを構成する円柱ペアについて,円柱ペアと円柱ペアの間隔を広げること,あるいは半径の異なる円柱をペアにすることが,屈折率を負にするあるいは左手系モードが伝搬する条件となることを示した.また下の周波数で伝搬する右手系モードの下限遮断周波数からバンドギャップを挟んで上の周波数で伝搬する左手系モードの上限遮断周波数までの電界分布の移り変わりを示し,等価誘電率が負となり,合わせて等価透磁率が負となる原理を電界分布から明らかにした.素子形状は,ペアの金属円柱を並べたコムライン型と円柱軸方向にずらせたインターデジタル型のどちらでも負屈折率媒質が構成できる.ただし,現段階ではコムライン型が外部領域と整合を取りやすく,外部から媒質へ入射する波の反射係数を下げることができている.通常はインピーダンスが低く,これを高くするために,2本の円柱の間隔を長くして等価透磁率を大きくし,また円柱と上面の導体板とのギャップを広げることで等価誘電率を小さくした.この結果,-10dB以下まで反射係数を下げることができた. コムライン型の円柱ペアを用いた2次元負屈折率媒質の特性をシミュレーションによって確認し,負屈折率レンズの試作を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二つの円柱を用いた単位セル構造で負屈折率媒質特性が得られることをシミュレーションで確認し,また負屈折率特性が得られる条件を示した.1次元構造に関して,動作原理について電界分布の周波数依存性から等価誘電率および透磁率が負になる物理イメージを示すことができた.またインピーダンスの調整方法を示し,反射係数の小さなシミュレーション結果を得ている.以上のようにほぼ計画していた項目を達成している. また2次元構造において異方性の小さな金属円柱配置を見つけ,また周波数に関して安定した左手系モードが伝搬している.反射を抑えることに関しては,当初の計画とは異なるが,媒質境界にモード変換用の金属円柱を置き反射係数を-10dB以下まで下げた.媒質の特性測定には支障ないと考える.この2次元媒質構造の試作まで年度内に完了し,ほぼ予定通りと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度試作した負屈折率媒質をレンズとして使用,結像面における電界分布を測定し分解能を調べる.さらに単位セルの小さな媒質構造を用いてレンズの分解能を調べる.エバニセント波のエネルギーの蓄積を時間領域において測定し,結像面の電界分布のサブ波長分解能へのかかわりを明らかにする.
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Causes of Carryover |
次年度使用額は6095円である.試作実験用の測定系器具が作成途中のため,この金額が残った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試作実験用の測定器具を次年度に入ってすぐに作成するため,この金額は早々に使用する.
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